花火句会①


緊急『テレ句会』開かる!

 

国や自治体から緊急事態宣言が発出され、世の中は外出自粛ムードに。いくつかの業種には休業要請も出されました。ここ名古屋の街も名駅や栄など人や車が激減、地下鉄などの交通機関もガラガラ状態。ここ日本におけるウイルスとの戦い、アメリカやイタリア、スペインのようなオーバーシュートを回避する為にはヒトヒト感染の根元を断つ、可能であればゼロにする。それが出来ない時はいわゆるソーシャルディスタンスですか、他人との接触には距離をとる、それしかないとのこと。しかもその目標は7~8割減というんだから、とにかく凄い。唯唯溜息しかありません。何でも今が正念場。その為「不要不急の外出は控えて」「不要不急の仕事やお店は休んで」の大合唱という訳です。

 

そこで花火句会です。いうまでもなく、俳句といい句会といい「不要不急」のお手本みたいなもの。別に無くなっても誰も困らない。俳人=廃人説だってあります。しかも句会後は居酒屋での懇親会、これなんぞ「3密」そのもの。よって4月句会は中止、当然の判断です。

 

しかし心の片隅には若干の文句があります。それは「不要不急」の言葉とその使い方です。そもそもこの人間社会、何をもって不要というのか、何をもって不急というのか。それ、一律に決められないからこその人間ではないのか。多種多様、十人十色、不要に要あり、不急に急あり。それでこその人間であり、人生であり、楽しみであり、面白味なんであります。不要不急にも五分の魂ありです。

 

てなことを口の中でブツブツ言っていたら、4月15日夕刊の記事、「このまま何もしなければ、日本の重篤患者は80万人、その50%、40万人は死ぬ!」。ゲゲゲゲ~ッ、ホンマかいな、それはおそがい、勘弁してくれ~っ。100年前のスペイン風邪、世界の死者は2千数百万人、日本の死者も40万人弱だったという。今回絶対そうならないとは誰も言えない。そりゃいかん、大事だ、皆さ~ん、不要不急の外出は控えましょう! 不要不急は人類の敵だっ! 文句言うな! に方針転換させていただきます。スミマセン。

 

今回のテレワークならぬテレ句会、正に苦肉の策です。今年度から句会は2ヶ月に1回になったので、もし完全中止になったら、次の6月句会が開催可能になったとしても4ヶ月ぶり。若干認知症のケがある某なんぞ、句友の名前も忘れるやもしれません。よって何もなしという訳にはいかない、何か手はないのか、そこで、という訳です。これなら句友同士の接触ゼロ、飛沫感染も起こりません。ただ心配もありました。それはこの試みに果して何人が投句してくるのかということ。そもそも集まらないんで、どの句がいい、どの句はつまらんの丁々発止のやり取りナシ。会費も集められないんで一席~三席の賞品もナシ。句会後の一杯もナシ。それに中にはこんな状況で俳句なんぞ作ってられんという人もいるのではないか…。しかしこれは杞憂でした。呼びかけた常連組13人中12人が期限通りに句を送ってくれました。(残る一名からは、ギリギリまで句作に努めたけど駄目だった、今回は失礼させていただくとのメールがありました。これ、誰とは言いませんが、東京の智昭です。次回の投句、期待しています) かくして全60句! 内容の良し悪しは分かりませんが、立派! 立派! 大したものです。

 

このテレ句会、花火句会にとっては初めての試み。果して上手くいくのかどうか、その結果は? そこらあたりの評価はこれから。今回については以下ご覧いただくとして、まずはみなさんのご協力に感謝、感謝です。おかげ様で4月句会の完全中止はなんとか免れることができました。有難うございました。今回の件、直に顔をつき合わせて、コロナウイルスについてのあれこれ、テレ句会の評価、良し悪しとかそのやり方、手順、やってみての感想とか、侃々諤々の議論をしてみたい。きっと新しい発見があり、次なる道も見えてくるに違いない、そう思います。ただそれいつになるか、現時点では見通し不能ですが、とにかくみなさん、その時までお元気で。

2020年4月26日

花火句会事務局

 


一席 

山笑ふ耳の辺りに電波塔/仁誠

 

二席 

賢治の詩音読すれば春の風/小麦

 

三席 

幣辛夷咲いて木立ちのあるを知る/沓九郎

 

 

今月の入点句(特選句)

 

山口勝行

俯瞰(ふかん)して視野に余りし花の雲

疫病に新緑対峙(たいじ)して起(た)てり

籠(こも)り居に倦(う)みてしばしの花見かな

戯(ざ)れ来たる初蝶親し庭手入れ

片栗(かたくり)の怒髪天衝(どはつてんつ)くごと咲ける

 

河村仁誠

山笑ふ耳の辺りに電波塔

外来種棲まふ池とや水草生ふ

悉く手刀で飛ばす松の芯

指舐めて風を読みたる野焼かな

 

加藤小麦

賢治の詩音読すれば春の風

のろのろと車動かし花見かな

花吹雪おめかしをしてテレワーク

タンポポや元より私ひきこもり

 

深井沓九郎

幣辛夷咲いて木立ちのあるを知る

海分くる橋風強き夏隣

目借時憂きこと何かあったはず

 

梶原信史

合掌の長き茶髪や涅槃西風

いつもの刻(とき)いつもの枝に囀れり

 

中谷U太

春月を哀しき色に塗りにけり

横顔の亡き人に似る春炬燵

山際に住む山際は花ふゞき

身も蓋もなき話して桜餅

 

高津按庵

草餅を二つ頬張り目白黒

シャボン玉遊ぶ親子を見つめる子

万葉の歌ラジオより春の昼

 

山田夏子

点滴を下げて見上ぐる春の月

青信号駆け出すスーツ若緑

 

上田三枝

静寂の桜並木や青い空

バスの窓小雨の中の若緑

 

御酒一筋

桜の句どうしても一句作りたし

ふわふわもやがてチクチク若緑

 

仲野カモメ

大箱の開封急かさる若布かな

 

原藻六

脱ぎ捨ててなほなまめかし花衣

 


山口勝行選評〈最優秀句〉

 

指舐めて風を読みたる野焼きかな/仁誠

 

春先に野や土手などの枯草を焼き払うのが野焼、草生をよくし害虫を駆除するためのもの。しかし枯草に火をつけるのだから安全の確認がなにより大切である。この句、風向きを読み、点火の場所と時刻を村の衆に指示する長老の姿が伺えます。

 

〈入点句〉

今回のテレ句会、次の10句に点を入れました。

幣辛夷咲いて木立ちのあるを知る/沓九郎

のろのろと車動かし花見かな/小麦

点滴を下げて見上ぐる春の月/夏子

青信号駆け出すスーツ若緑/夏子

明日はある被曝の里の若みどり/藻六

若緑御国(みくに)の安寧祈りけり/カモメ

外来種棲まふ池とや水草生ふ/仁誠

花吹雪おめかしをしてテレワーク/小麦

合掌の長き茶髪や涅槃西風(ねはんにし)/信史

大楠の陰に隠れて松の芯/按庵

 

〈添削句〉

静寂の桜並木や青い空/三枝

疫病に桜並木の鎮もれる

 

いつもの刻(とき)いつもの枝に囀れり/信史

今朝も又いつもの枝に囀れり

 

コロナ禍の里にポツンと葱坊主/沓九郎

疫病禍の里にぽつんと葱坊主

 

嬰児のみどりはここから若緑/一筋

歩み初む吾子の未来や若緑

 


句会を終えてひと言

 

今月の特選句

疫病に新緑対峙(たいじ)して起(た)てり/勝行先生

中国に始まり日本韓国そして全世界へ感染を拡げる新型コロナウイルス感染症、その疫病に立ち向かうように新緑が体を張って立ち上がったという。緑は二酸化炭素を吸収して酸素を放出するというひたすら頭の下がる存在であり、その緑が今度は疫病のウイルスまでも吸収してくれればこんな嬉しいことはない。人間の力ではまだまだ完全駆逐には及ばないが新緑ならやってくれそうな気にさせてくれる。でももしかしたら緑とは人類かもしれない。

今月の自信句

指舐めて風を読みたる野焼きかな

指を舐めてその指を風上に向けると、舐めた指が冷たくなってどの方角から風が吹いてきているのかが良く分かる。これをやるのは、ゴルフでドライバーを振り回すときと畑で野焼きするときだけである。但し畑の野焼きはすぐ脇を国道が通っていることもあり、煙が道路に流れる風向きの時は燃やさぬようにしている。野焼きの鉄則でもあるが一気に燃やし一気に消火する、そのためにも風向きは重要である。
(仁誠)


特選

草餅を二つ頬張り目白黒/按庵

景の滑稽さ。なぜに二つ。急いでいたか、おいしいので続け様に口に入れたか。

そうゴクンといけない食べ物。目白黒はさもありなん。

自信句

若緑一度の入園式流る

孫の幼稚園の本年の入園式のことを詠んだものであるが、幼稚園限らず本年は卒業式、入学式、入社式等、当人にとって一生に一度記憶に残ることが災禍により経験できなかったわけである。心中察するには余りある。

(カモメ)

 

◎を打ったのは信史の「合掌の長き茶髪や涅槃西風」。西方浄土からの迎え風と云われる涅槃西風(ねはんにし)。その強風の中、本殿に祈りを捧げるド派手な茶髪の若者、長髪が風に揺れます。取合せの妙、映像が浮ぶのも良い。自信句はありませんがわての「空足を坂道に踏み孕み鹿」、最近ヨロヨロモタモタして階段で空足を踏むこともしばしば。そこから詠んだ句でありやす。わてと一緒にして、鹿さん、スンマセン。今回のテレ句会、感染防止の為仕方のないことではありますが、ワイワイガヤガヤ派のわてとしてはどうにも調子に乗れません。何とか生き永らえて、句友とのああだこうだの句談義、そして句会後の酒を楽しみたい。その際はヨロシク!
(藻六)

 

特選句

春月を哀しき色に塗りにけり/U太

哀しきという形容詞は普通なら、いささか陳腐かも知れません。が、コロナ禍のこの時勢、作者は春月さえも哀しいと感じたのでしょうか? (私は、春月を朧月よりも最近実際にみたスーパームーン〔満月〕を思いました) あるいは、自宅にひきこまらざるをえぬ孫が塗り絵を書く姿や絵に、愛おしさ、哀しさを感じたのでありましょうか…というような勝手な想像をしました。

自信句

万葉の歌ラジオより春の昼

一週間ほど前の土曜日、午前の仕事を終え、本当は歩きまわりたかったのですが、たまたまNHK7.29ラジオをつけたら、漫才のナイツが何故か“万葉集”の研究家としゃべっていた(3時間も)。結局、コロナ禍で自粛ムードの中、家でラジオを聴くことになってしまった。気だるさの中に面白くなって、いい午後でした。歳時記をみたら‟春昼(しゆんちう)“という季語があるではないか! そのまま句にしました。

(按庵)

 

【特選】

点滴を下げて見上ぐる春の月/夏子

不安ばかりの入院生活の中に、ふと希望を発見した時の喜びとその裏に張り付いた哀しみ。20年前に経験した入院生活を思い出しました。

【入選】

脱ぎ捨ててなほなまめかし花衣/藻六

何もかもが美しく艶めかしかった頃の、今はもう失われた一瞬の美。藻六さんあたりが作りそうな作品と思ったら、やはり藻六さんでした。

桜の句どうしても一句作りたし/一筋

分かる分かる。焦れば焦るほどつくれないんですよね、普通。

目借時憂きこと何かあつたはず/沓九郎

何をさておいても、幸せであればそれでよいという幸福至上主義がうれしい。人生、これでいいのだ!

大箱の開封急かさる若布かな/カモメ

海辺の町から送られてきた新若布の箱を開ける直前のわくわく感に同感!

【自信作】

春の海にてひとり

尾崎方哉先生からの頂きもの。

(U太)

 

特選

のろのろと車動かし花見かな/小麦

新型コロナの影響で外出自粛の為、いつもなら花見客で賑わう道路も人がいないので、人と接触せずに車での花見をしている様子を上手く表現していると思いました。

自信句

バスの窓小雨の中若緑

感想

初めての形での句会でしたが、皆さんの顔を見ることが出来ず、楽しいワイワイとした話も聞けず、寂しい句会に感じました。はやく新型コロナが終息して、皆さんの顔が見たいです。

(三枝)

 

<特選句>

シャボン玉遊ぶ親子を見つめる子/按庵

<特選に選んだ理由>

遊ぶ親子ではなくそれを見ている子どもに焦点を当てた作者。

どんな思いで見つめているのか想像力が掻き立てられます。

亡くなった親を思い出しているのか、一緒に遊べない境遇にあって羨んでいるのか。

シャボン玉の儚さも加わって切ない気持ちが募ります。

<自作の自信句>

海渡る橋風に揺れ夏隣

<句作の背景>

2月に沖縄に行って古宇利島に渡った時の思い出を句にしました。

真っ青な海を突っ切って長い橋。海風に揺れてました。気持ちいい。超気持ちいい。

<感想ほか>

句友に会える2か月に1回の機会もコロナでおじゃん。

今思うと当初、コロナはかかっても大したことないと言われ油断したことが大失敗の元。

自分も高を括っていました。実際はかなり恐ろしいことになるのに。

普通の生活のありがたさが分かるね、ほんと。

(沓九郎)

 

《特選句》

俯瞰(ふかん)して視野に余りし花の雲/勝行先生

作者はどこか高い山の上にでもいるのでしょうか。

「花の雲」という響きがとても美しくて、私の勝手なイメージですが、眼下に広がる“高遠の桜並木”が目に浮かぶようで、今回の「特選句」に選ばせて頂きました。

《自信句》

向かい合う杖に桜の老婦人

コロナでどこへも出掛けられずに、お花見すらまともに行けずに気が滅入りがちのある日、通勤途中の地下鉄の中でふと向かいに座ったお婆さんの杖に、ピンクの可憐な桜の柄が。。。ほんのちょっとした事ですが、沈みがちな心がほっこりする出来事を俳句に詠んでみました。

花火句会の皆様も、くれぐれもコロナに感染しないよう気をつけて下さい。一日も早く収束に向かい、6月の句会は無事に開催され、又元気にお会いできるのを楽しみにしています(*^▽^*)

(夏子)

 

特選句

横顔の亡き人に似る春炬燵/U太

こたつで横に並ぶ人、亡き人はその人の亡父、または亡母か

人のふとした仕草に感じる生命のつながり

自信句

今年もやっぱり春の風冷たくて

春の到来を待ちわびるこの時期。春イコールあたたかいと思いがちだが、なかなかすんなりとは暖かくなってくれない。

そんなことをこの時期が来るたびに思い起こさせていただく。ああ、ありがたや生命のきらめき。

(一筋)

 

小麦特選句

外来種棲まふ池とや水草生ふ/仁誠

理由

在来種を凌駕する強い外来種(ブルーギルとか、ブラックバスとか)が棲んでいるというこの池。透明度が低く、水の中は見えません。しかも水面には、水草がいっぱい。

姿が見えないので、なんとなく不気味ではあるけれど、生物たちはしっかりと季節をとらえ、次の世代に命をつないでいる。そんな多様なエネルギーを感じさせてくれる句。

水と生き物たちの物語のようなものが浮かぶような気がしました。

わたくしの自信句

賢治の詩音読すれば春の風

ずっとひきこもっていますが、もともと、家にいるのが好きなので、ストレスもほとんどない私です。

それでも、世界で起こっていることを思うと、気持ちが下がります。

そんなとき、

アメニモマケズカゼニモマケズ・・・。

賢治の詩を声を出して読んでみました。

春の風もやさしく、木々の緑は萌え、自然は季節をたがわず、巡っている・・・。

生きているだけでありがたいことです。

(小麦)

 

「特選」

賢治の詩音読すれば春の風/小麦

「特選理由」

「賢治」「風」の二文字から宮沢賢治の“風の又三郎”を思い出した。作者は風の又三郎以外の詩を想起して作句されたかもしれないが、こちらは勝手にそう決め込んで読ませていただいた。

どっどど どどうど・・・」で始まるフレーズを咄嗟に口ずさんでいた。と同時に運動場をざっと吹き抜け、ガタガタと教室の窓を叩く風や木々の葉が白く裏返る映像が思い起こされた。理由は分からないが、歌詞の風に怖さを覚え、強風ともなると未だにトラウマになっている自分に気付かされる。

雑木林や校庭ではしゃいでいた遠い記憶の中の少年時代を大いに回想させてくれて実に懐かしく思えた。

「自信句」

いつもの刻(とき)いつもの枝に囀れり

この頃毎朝決まった時刻の囀りに目覚めるようになった。ある日、気付かれぬようカーテンの隙間から鳥の鳴き声を探すが、未だその姿を見せてくれたことはない。数日間、この日課を繰り返すと、椿の木のずーと奥からその声が聞こえてくる。どうやらこの庭木が気に入ってくれたようで、嬉しくなった。

折しも新型コロナウイルス感染で閉塞感、緊張感が高まる中にあって、囀りが聞こえる変わらぬ日常に感謝の念を抱いた次第である。

(信史)



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句会の予定


【日時】 2020年6月13日(第2土曜日) 18:00~

【会場】 金山アカデミーセンター4F

【兼題】 『杜若(かきつばた)』を含む当季雑詠5句