花火句会①

句会、再出発!

これまでの月1回の句会が、今年からは2ヶ月に1回、偶数月の第2土曜日開催となりました。それにともない、選句と採点にも若干の変更が。発足から16年目、会員、投句者ともここいらでそれぞれの句づくりや句会の在り方を見直そうというわけです。今回の変更が、後退ではなく、さらなる発展の契機となればいいのですが。結果は果して? 神のみぞ知るです。

そんな新生花火句会の第1回、2020年2月句会が開かれました。世間が新型コロナウイルスに揺れる中、出席者10名、常連組での欠席者は信史だけという好調なすべり出し。(ちなみに信史の欠席理由は体調不良、ただしウイルス感染ではありません。これ、念の為)

提出された句も、時間的な余裕からか、推敲を重ねたと思われる句が多く、秀句揃いでした。上々の再出発、まずは良かった。今後とも句会への出席、それがかなわない場合には投句、この原則を守りたい。

句会の結果は、トップ賞は沓九郎が1点差で仁誠を制し、勝行先生選の最優秀句にはダントツで三枝が選ばれました。

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何といっても今年度の初句会、この二人にとってはこれ以上ない絶好のスタートといえます。一方、藻六、カモメ、一筋のビリ争い、制したのは……。そんなのどうでもいい? ですよね、スミマセン。

句会後は金山駅近くの居酒屋。例によってワイワイガヤガヤ。楽しく、面白く、時間はあっという間に過ぎていきました。こちらはいつもの通りの花火句会でありました。

 

 

席 

傘の柄を肩に置き行く春時雨/沓九郎

 

二席 

村芝居はねて立ち去る春時雨/仁誠

 

三席 

夕暮の街をシネマに春時雨/小麦

 

 

今回の入点句(は特選句)

 

山口勝行

耿々(こうこう)と予備校の灯の冴返る

午後もなほ解けぬ氷柱(つらら)や奥美濃路

田舎味噌添へて届きし蕗の薹

 

深井沓九郎

ベランダの紫煙の向こう冬星座

冴返る芝のグランド試合前

バレンタイン保険のおばちゃん訪ね来し

 

河村仁誠

春立ちて過ぐる電車の音軽き

村芝居はねて立ち去る春時雨

春灯火レモン貼り付く空きグラス

 

加藤小麦

夕暮の街をシネマに春時雨

中腹のカーブ緩やか山笑ふ

ホッピーを飲む東京の春時雨

 

山田夏子

雨上がり背中押されし春散歩

瞬きの睫毛は長き春帽子

手水舎の水の甘さや春時雨

竹林の間に光る猫柳

 

梶原信史

燃え残る大松明に東風荒し

渋滞のサイドミラーに春時雨

寒の明法衣(ほうえ)に覗く布施袋

 

中谷U太

綿虫や三角ベースに飽きし頃

衰へを語り尽くして牡蠣の鍋

このところ少し幸せ日向ぼこ

 

高津按庵

新調の靴うれしくて春を待つ

立春や松葉杖つき美容院

乱暴に椿は落ちて休校舎

 

上田三枝

寝不足の言い訳にする猫の恋

退院の母と飾りし内裏雛

新色の口紅買うや春時雨

 

仲野カモメ

蝋梅の踵上ぐやう促しぬ

 

御酒一筋

主さんとボートを漕げば春しぐれ

山茶花の咲いた枯れたを載せてをり

 

原藻六

己が影追つて畑打つ男かな


 

山口勝行選評〈最優秀句〉


終電のホームのベンチ冴返る/三枝

 


〈入点句〉


退院の母と飾りし内裏雛/三枝

新色の口紅買うや春時雨/三枝

薄氷を割りし園児の泥遊び/三枝

手水舎の水の甘さや春時雨/夏子

竹林の間に光る猫柳/夏子

燃え残る大松明に東風荒し/信史

敷石のすき間すき間に芽吹き雨/信史

衰へを語り尽くして牡蠣の鍋/U太

着ぶくれし人と挨拶着ぶくれて/U太

新調の靴うれしくて春を待つ/按庵

乱暴に椿は落ちて休校舎/按庵

脳ドック所見待つ身や春時雨/カモメ

大試験孫の突破を伝へ来し/カモメ

ベランダの紫煙の向こう冬星座/沓九郎

春立ちて過ぐる電車の音軽き/仁誠

ブティックにピンクあふれて春の風/小麦

一族の産土参り春時雨/一筋

己が影追つて畑打つ男かな/藻六

 


今回の最優秀句とした三枝の句、ただでさえどこか寒々とした感のある終電のホーム、そこに、さらに追い打ちをかけるかのように、この季節特有の「冴返る」の気候。暖かくなりかけた頃の寒の戻りによって、心身とも、沁み透るような寒気にとらわれます。

 

沓九郎の「ベランダの紫煙の向こう冬星座」は、冬星座を冬銀河としたい。星座と銀河、この違いを押えてください。

 

信史の「敷石のすき間すき間に芽吹き雨」「敷石のすき間に注ぎ木の芽雨」と添削の上、点を入れました。

 

仁誠の「春灯火レモン貼り付く空きグラス」、春灯火は春、レモンは秋の季語です。季重なりは避けたいので、一つは消したい。さて、より詠みたいのはどちらでしょうか。そちらに集中して下さい。

 

按庵の「乱暴に椿は落ちて休校舎」「乱暴に椿の落ちて廃校舎」に。休校と廃校は違います。

 

夏子の「竹林の間に光る猫柳」は「間」を「迫間(はざま)」としました。間をはざまと読むのは姓氏の場合です。



句会を終えてひと言

 

花により散り方は様様。大きな花の椿は、ええいとばかり、ドタッと散ってみせる。重量感と投げやり感がリンクしている感じ。まだまだ枯れてはいないのにという、物淋しさもある。按庵の「乱暴に椿は落ちて休校舎」が特選。自信句は「うすらひやためらいつつも杓入れぬ」。勤務先より徒歩5分の神社に毎日参詣するのであるが、この暖冬。手水場の水が凍ることはこれまでなかった。それがこの冷え込み、うっすらと氷が張っているではないか。思わず杓を入れるのが惜しい気がした。その時の句である。

暖冬である。灯油使わん。灯油売れん。船の輸送も減。商売あがったり。近年まれにみる状況だ。なんとかならないものか。 (カモメ)

 

同じ時雨でも春の時雨には明るさが感じられ、ちょっとウキウキします。そこで、「新色の口紅買うや春時雨」、私の自信句です。いろいろ迷いましたが、特選に選んだのは沓九郎の「冴返る芝のグランド試合前」。試合が始まれば選手も観客も熱くなるが、試合前は静か。そのひとときの静寂と冴返るという季語との絶妙なマッチングに魅かれました。思いがけなく、今日は私の「終電のホームのベンチ冴返る」が最優秀句に。うれしかったぁ。 (三枝)

 

「ホッピーを飲む東京の春時雨/小麦」が特選。ワタクシが生まれて初めてホッピーを見たのも飲んだのも東京の居酒屋。確か銀座だか新宿だか…。そんな大都会ど真ん中でのホッピーは、当時20代前半、田舎もんのワタクシにはただただ感激以外の何物でもなかった。その時同席した初対面の玉井くん、あっと驚く飲み方を見せてくれました。その飲み方とは? ①コップに並々とホッピーを注ぐ ②そのコップを口にくわえる、この時手は使わない ③コップをくわえたまま天井を見上げる ④そのままゴクゴクッと飲み干す。ただただ感嘆のワンシーンではありました。この句で、それ、想い出した。堂々の自信句は「主さんとボートを漕げば春しぐれ」。♪主さん、主さん、と呼んだとて、主さんには立派な方がある、一生忘れぬ片思ひ、ってね。こんな風に、ワタクシも春の池に繰り出してみたいものだ。この句は藻六からの1点だけ。ま、当然よな。 (一筋)

 

ニュースでも盛んに伝えられるセンター試験。受験生は夜遅くまで頑張っている。その姿が目に浮かぶよう。先生の「耿々(こうこう)と予備校の灯の冴返る」が特選。実際に姿は見えなくとも、予備校の光だけで表現する、さすが先生ですよね。冬の手水舎の水、口に含んでも冷たすぎて、味も何もあったもんじゃない。それでも春になると、たとえ時雨であっても、気のせいか甘く感じたりします。今日の自信句「手水舎の水の甘さや春時雨」です。 (夏子)

 

村芝居がはねて見物客が外に出てみると、それまで降っていた雨がピタリと止んでいる。高齢者が多い村人への配慮か。ま、そんなことはないだろうけど、面白い。ひょっとしたら、雨も芝居を見てたりして。仁誠の「村芝居はねて立ち去る春時雨」に◎を打った。自信句はナシ。入点は「己が影追つて畑打つ男かな」に1点のみ。順位はビリ。2020年はドン底からのスタートとなりました。しかし物は考えよう。これ以上は堕ちようがありません。あとは浮上あるのみ。エッ! まだ底がある? 0点で、ビリだって! それだけは勘弁してほしい。どなたでも結構です、4月にはわてに点を入れてくだされ~っ。 (藻六)

 

2020年最初の句会。常連組はほぼ全員出席、気持の良い会でした。良い句も多かった。二ヶ月に一回にして良かったのではないでしょうか。あちきの今回の自信句は「夕暮の街をシネマに春時雨」。街灯がボーッと灯った春の街、そこにしとしとと雨が降る…。まるでフランス映画のワンシーンでごじゃります。おしゃれ~!(と自分で言っときます)。特選にしたのは仁誠の「春灯火レモン貼り付く空きグラス」。バーのカウンターでひとりゆっくりとお酒を飲んでいて、ふととなりの席を見ると、空いたグラスにレモンが貼り付いている。なんとなく気だるく、ぼんやりとした時間が、無為に過ぎていく…。春灯という季語にぴったりの、雰囲気のある句だと思いやした。 (小麦)

 

特選にしたのは先生の「耿々と予備校の灯の冴返る」。センター試験が終わり、受験生は今安堵の心境だと思うが、ほんの少し前までは予備校や塾は夜遅くまで、それこそ耿々と灯りがついていた。中の生徒は必死で頭も熱くなっていたであろう。やむを得ぬとはいえ、そんな生徒の心情を思うと、可哀相でもあり、なぜか淋しくも感じられた。予備校の灯りはまさに「冴返る」の季語そのものの空間だった。小学校低学年当時の実体験、それが自信句の「紙芝居続編も見て日永かな」。紙芝居屋が来ると駄菓子を買って見ることになるが、大概は面白いところで「つづく」となる。よって小遣いに余裕がある日はもう一度菓子を買って「つづき」を見る。そんな昔むかしの紙芝居を想い起こせば、その時は夕暮れが遅かったような、そんな記憶がある。 (仁誠)

 

“ふきのとう”を食べたいとは特に思いませんが、“田舎みそ”が添えられてというのに心あたたまります。(それでも食べたいとは思いませんが…)。先生の「田舎味噌添へて届きし蕗の薹」を特選にした。形容詞や説明がないのがいい! 自信句は「新調の靴うれしくて春を待つ」。この句、先生から「新調の靴うれしくて春待つ子」と添削されましたが、これは孫のことではありまっせ~ん。わてのことでげす。40%オフの靴を買ったんだけど、これがこれまでで一番のはきごこち、これならどれだけでも歩けそう。暖冬の今年、2月6日の国府宮はだか祭りで急に寒くなったが、もう少し春らしくなったら、この靴をはいてウォーキングにでかけたい。 (按庵)

 

蝋梅というのは中国原産の高さ3メートル位になる落葉樹。冬、黄色の香り高い花が、やや下を向いて咲きます。その蝋梅が、見る人に、もっと踵を上げ近づいて香を嗅げと促している…。カモメの「蝋梅の踵上ぐやう促しぬ」が特選。擬人化がうまく効いていて、面白みも出ていると思った。「数十年会わぬ友死す春寒し」。この私の句は弔歌とでもいったらいいのか。ずっと会っていなくとも、いつかは会いたいと思っていた学生時代の友人O君。この間暇に任せて検索したら、一年前に亡くなっていました。残念です、合掌。

二ヶ月ぶりの句会。俳句も少しやらないとドンドン下手になるといいますが、ホント、今回の提出句には苦労させられました。句会はなくとも、普段から句作りに励みたい。 (沓九郎)



伝言板


ダイハチ41周年ライブのご案内です。

 

「花火句会が自信と責任をもたずにおススメする句会メンバーによる音楽ライブです。
しかしまあ41年も長いことやってるもんですな一筋さん(句会での俳号は御酒一筋)。
お時間あらましタラバガニぜひ!」というコメントが届いています。

 


2020.3.8第8旅団41周年ライブチラシ (1)



 句会の予定


【日時】 2020年4月11日(第2土曜日) 18:00~

【会場】 金山アカデミーセンター4F

【兼題】 『若緑』を含む当季雑詠5句