山口勝行選12句
葉を消して手品師のごと曼珠沙華/小麦
里山を静かに燃やし曼珠沙華/小麦
取り付いて覆い隠せし藪からし/小麦
幼子の手折らば熱し曼珠沙華/一筋
自爆せしテロリストをも洗ふ月/一筋
車降りしばしながむる望の月/一筋
月明や艫(とも)に俯く海女狐影/藻六
月明かり仁王の憤怒際立ちぬ/藻六
千鳥足止めし頭上に月冴ゆる/藻六
満月をおちょこに浮かべ飲み干しぬ/参茶
忘れいし母の命日彼岸花/按庵
花の名を覚えたくなる秋日和/みほ
山口勝行添削6句
(原句)門灯は無駄使いなり満月や
(添削)門灯を消して満月仰ぎけり
(原句)破れ屋に荒畑月光容赦なく
(添削)廃屋の庭に月光あまねかり
(原句)名月や見えて隠れて九十九折
(添削)名月の見え隠れして九十九折
(原句)もやもやを洗い流して月と酒
(添削)憂きことを洗い流して月今宵
(原句)月見酒夜気に落ちつき朝を待つ
(添削)月見酒静かに酌みて朝を待ち
(原句)踊り狂い何うれしかろう野分の木
(添削)街路樹に狼藉振りを見し野分
追加5句
月を見る盃を見る我を見る/タタ
闇も鵜も鵜匠も黒き小瀬鵜飼/沓九郎
いつからかもちつきうさぎの影追えず/みほ
見てる月何も言わない丸でいい/参茶
どこにいるのとたずねる心に秋の風/按庵
月刊花火句会 これからの刊行予定
★10月20日:2019年10月号(211号)
『10月定例句会(10月12日)報告』
句会の予定
【日時】 2019年10月12日(土) 18:00~
【会場】 金山アカデミーセンター4F
【兼題】 『新松子(しんちぢり)』を含む当季雑詠5句
(注)新松子(しんちぢり)とはその年に新しくできたまつかさのことで、まだ青くて固い。秋の季語である。