その⑥ 上田三枝
おだやかな陽射しにゆれる桜かな
帰り道停留所舞う赤とんぼ
ひさしぶりゆかた姿に惚れ直す
かぜひいて金柑みつけ母想う
めざましに手だけのびゆく冬の朝
公園に落葉と遊ぶ子供達
初雪にあわてる大人はしゃぐ子等
除夜の鐘聞くよりはやく眠りたい
鍋かこみ湯気のむこうの声はずみ
年毎に手抜上手な年用意
雛かざりむかし話に母笑う
木の芽時少し手を抜く家事仕事
道ひらけつらなるバスに山笑う
校舎より卒業の歌もれ聞こえ
こどもの日柱のキズに目のうるみ
一輪のバラに華やぎ部屋の中
ころもがえ短いズボンに親あせる
雨上がり紫陽花つつく子供達
よく当たる予報屋さんのなめくじら
初夏の朝あいさつ交わし友となる
時忘れ流星さがす里の夜
夕立に歓声上げて子ら走る
歩道落葉のじゅうたん舞い上がる
クリスマスすき間から見る寝つけぬ子
おでん鍋つつく幸せ家族の輪
あと五分何度も思う冬の朝
初詣人波の中手をさがす
初夢の続きを見んと二度寝せし
窓の外余寒を飛ばす子らの声
冬の朝ストーブつけて動けない
雛かざり見つめる母の背の小さき
ランドセル桜の下でハイポーズ
路線バス桜トンネル通りぬけ
春の風散らすはなびら手をのばし
子供の日柱のキズに追いこされ
帰り道風とささやく若葉たち
見上げれば吸い込まれそな五月晴れ
空見上げ風を待ちいる鯉のぼり
白服のおしゃべり弾むバスの中
クーラーの音に消されし蝉の声
花火よりひき潮のごと人の波
日傘より見えかくれせしうなじかな
店先の松茸見つつしめじ買ひ
山もみじ幼き子の手思いだし
重なりし紅葉の先の澄める空
神社背に銀杏黄葉秋の空
美濃の町見下ろす秋の小倉山
まっすぐに空に向かいし冬木立
道端の地蔵かぶれる綿帽子
どか雪に明かりたたれし過疎の村
冬至湯の香に安らぎて時忘れ
園児等に春一番の吹き来たる
節分の鬼張り切って子ら泣かす
新学期定期売場の長い列
たんぽぽに見送られ乗る始発バス
葉桜や人波消えし散歩道
菖蒲湯や外に響きて子らの声
夏シャツや眩しき白に吸い込まれ
梅雨の間のホームのベンチ傘ひとつ
亡き母のメモを真似して梅漬くる
なつかしき車窓の景色帰省かな
雨上がり肩にポツリと夏木立
残業し電車の窓に遠花火
山の水桶の中には夏野菜
見え隠れ母の背小さき冬帽子
カサカサと車道の落葉右左
日向ぼこ手押し車の影ひとつ
白き息悴みし手の中に消え
賀状待つ友よりメール来る時代
悴みし両手に荷物バスを待つ
雨上がり鳥舞う空や春近し
電車待つホームの端の余寒かな
道端の地蔵と梅に足を止め
山々の流るる雲や春の風
通学路あじさいに添ひ傘の列
スベリ台よちよち歩く夏帽子
夏山にゴンドラの列吸い込まれ
玄関の友を迎えし夏暖簾
高速の渋滞に見る遠花火
いさかいて一人見上げる天の川
ふる里に小さき手にぎり盆踊り
老夫婦休み休みの松手入れ
青き空案山子の列の観光地
新米のおかわりをせしはらぐあい
ふるさとの母の手編みの冬帽子
白き里あかり灯りて山眠る
孫帰り妻と二人の寝正月
早朝に灯油入れる手悴みし
くもる窓鍋かこむ子と孫の声
母出かけ無口な父とさくら餅
式終えて靴跡だらけ春の泥
静けさの茶房の庭の薄暑かな
亀泳ぐ水面に注ぎ初夏の風
星空や徹夜踊りのゲタの音
子ら帰り空の虫かご部屋隅に
歓声も手花火終えて闇の中
立秋や校庭の風子らを待つ
花火終えにぎりし子の手電車待つ
夜業の子見送る背中細き月
月刊花火句会 これからの刊行予定
★10月14日:2017年10月号(163号)
『10月定例句会(10月7日)報告』
★10月30日:2017年10月増刊号(164号)
『自選100句』シリーズ
その⑦ 増田智昭
句会の予定
【日時】 2017年10月7日(土) 18:00~
【会場】 金山アカデミーセンター4F
【兼題】 『新酒』を含む当季雑詠5句
投句の受付
◆投句料は不要、投句される方は、メールにてお願いいたします。
◆作者名は本名でも俳号でもかまいません。
◆投句数は5句でお願いいたします。
◆締切りは10月5日(木)とさせていただきます。
◆投句いただいた作品の内、句会での入点句は、次回のブログにて
発表させていただきます。
◆受付メールアドレス:haikuhanabikukai-aichi@yahoo.co.jp