月刊花火句会

花火句会は2004年夏、花火シーズンの真っ只中で発足しました。 集まったのは、当時40代から60代の10名余り、全員がそれまで俳句なんぞ作ったことがないというど素人ばかり、それでも俳人山口勝行氏の指導を得て、月1回の句会、年1~2回の吟行を行っております。 句会は、参加者が事前に用意した兼題1句を含む当季雑詠5句を提出、全員で選句します。 選句された句は、入点句として、次回の会報で発表されます。 会員による選句とは別に、山口勝行氏選の優秀句(1、2句)は、山口賞となります。 句会後には、自由参加で懇親会もあり、当日の会員の句を褒めたりけなしたり、まさに議論百出です。

2017年09月


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その⑥ 上田三枝


おだやかな陽射しにゆれる桜かな
帰り道停留所舞う赤とんぼ
ひさしぶりゆかた姿に惚れ直す
かぜひいて金柑みつけ母想う
めざましに手だけのびゆく冬の朝


公園に落葉と遊ぶ子供達
初雪にあわてる大人はしゃぐ子等
除夜の鐘聞くよりはやく眠りたい
鍋かこみ湯気のむこうの声はずみ
年毎に手抜上手な年用意


雛かざりむかし話に母笑う
木の芽時少し手を抜く家事仕事
道ひらけつらなるバスに山笑う
校舎より卒業の歌もれ聞こえ
こどもの日柱のキズに目のうるみ


一輪のバラに華やぎ部屋の中イメージ 2
ころもがえ短いズボンに親あせる
雨上がり紫陽花つつく子供達
よく当たる予報屋さんのなめくじら
初夏の朝あいさつ交わし友となる


時忘れ流星さがす里の夜
夕立に歓声上げて子ら走る
歩道落葉のじゅうたん舞い上がる
クリスマスすき間から見る寝つけぬ子
おでん鍋つつく幸せ家族の輪


あと五分何度も思う冬の朝
初詣人波の中手をさがす
初夢の続きを見んと二度寝せし
窓の外余寒を飛ばす子らの声
冬の朝ストーブつけて動けない
 
雛かざり見つめる母の背の小さき
ランドセル桜の下でハイポーズ
路線バス桜トンネル通りぬけ
春の風散らすはなびら手をのばし
子供の日柱のキズに追いこされ


帰り道風とささやく若葉たち
見上げれば吸い込まれそな五月晴れ
空見上げ風を待ちいる鯉のぼりイメージ 5
白服のおしゃべり弾むバスの中
クーラーの音に消されし蝉の声



花火よりひき潮のごと人の波
日傘より見えかくれせしうなじかな
店先の松茸見つつしめじ買ひ
山もみじ幼き子の手思いだし
重なりし紅葉の先の澄める空


神社背に銀杏黄葉秋の空
美濃の町見下ろす秋の小倉山
まっすぐに空に向かいし冬木立
道端の地蔵かぶれる綿帽子
どか雪に明かりたたれし過疎の村


冬至湯の香に安らぎて時忘れ
園児等に春一番の吹き来たる
節分の鬼張り切って子ら泣かす
新学期定期売場の長い列
たんぽぽに見送られ乗る始発バス


葉桜や人波消えし散歩道
菖蒲湯や外に響きて子らの声
夏シャツや眩しき白に吸い込まれ
梅雨の間のホームのベンチ傘ひとつ
亡き母のメモを真似して梅漬くる
 

なつかしき車窓の景色帰省かな
雨上がり肩にポツリと夏木立
残業し電車の窓に遠花火
山の水桶の中には夏野菜
見え隠れ母の背小さき冬帽子


カサカサと車道の落葉右左イメージ 4
日向ぼこ手押し車の影ひとつ
白き息悴みし手の中に消え
賀状待つ友よりメール来る時代
悴みし両手に荷物バスを待つ


雨上がり鳥舞う空や春近し
電車待つホームの端の余寒かな
道端の地蔵と梅に足を止め
山々の流るる雲や春の風
通学路あじさいに添ひ傘の列


スベリ台よちよち歩く夏帽子
夏山にゴンドラの列吸い込まれ
玄関の友を迎えし夏暖簾
高速の渋滞に見る遠花火
いさかいて一人見上げる天の川



向日葵の迷路手つなぎ初デートイメージ 3
ふる里に小さき手にぎり盆踊り
老夫婦休み休みの松手入れ
青き空案山子の列の観光地
新米のおかわりをせしはらぐあい


ふるさとの母の手編みの冬帽子
白き里あかり灯りて山眠る
孫帰り妻と二人の寝正月
早朝に灯油入れる手悴みし
くもる窓鍋かこむ子と孫の声


母出かけ無口な父とさくら餅
式終えて靴跡だらけ春の泥
静けさの茶房の庭の薄暑かな
亀泳ぐ水面に注ぎ初夏の風
星空や徹夜踊りのゲタの音


子ら帰り空の虫かご部屋隅に
歓声も手花火終えて闇の中
立秋や校庭の風子らを待つ
花火終えにぎりし子の手電車待つ
夜業の子見送る背中細き月







月刊花火句会 これからの刊行予定 



10月14日:2017年10月号(163号)
 『10月定例句会(10月7日)報告

10月30日:2017年10月増刊号(164号)
 『自選100句』シリーズ
  その⑦ 増田智昭



句会の予定 


【日時】 2017年10月7日(土) 18:00~
【会場】 金山アカデミーセンター4F
【兼題】 『新酒』を含む当季雑詠5句


投句の受付 


◆投句料は不要、投句される方は、メールにてお願いいたします。
◆作者名は本名でも俳号でもかまいません。
◆投句数は5句でお願いいたします。
◆締切りは10月5日(木)とさせていただきます。
◆投句いただいた作品の内、句会での入点句は、次回のブログにて
  発表させていただきます。
◆受付メールアドレス:haikuhanabikukai-aichi@yahoo.co.jp



















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【日  時】 2017年9月9日(土)
【会  場】 金山アカデミーセンター4F
【出席者】 勝行先生、仁誠、信史、小麦、夏子、三枝、藻六、カモメ、沓九郎、一筋、按庵
【投句者】 U太
【兼  題】 『花野』を含む当季雑詠5句


 
出席者11名、投句者1名、久しぶりに賑やかな句会になりました。不思議なもので、参加者が10名を超えると、ただそれだけで元気がでます。もっとも多ければ良いという訳でもなく、15名を超えると内容的に拡散してしまう、そんな気もします。丁度いいのは11名から14名、そんなところでしょうか(とまぁ、勝手に言っておきます)。ともかく今日の句会、賑やかでよかった。


今日9月9日は北朝鮮の建国記念日とかで、9月3日の核実験に続き何かあるのではと報道されていましたが、それはなかったよう。まずはよかった。かわって飛び込んできたビッグニュースは、桐生の9秒98! ついに日本初、悲願の10秒の厚い壁を公式に突破しました。やりました、やってくれました! 福井で行われた日本学生対校選手権でのもの。これで桐生祥秀(よしひで)の名は、日本の陸上界に永遠に名を刻んだことになります。おめでとうございます。核実験、ミサイル発射はゴメンですが、こうしたニュースなら大歓迎ですよね。


焼きラーメン事件! 
花火句会に珍事勃発、それが焼きラーメン事件であります。句会を終えて全員が初めてのとある居酒屋へ。ここが問題の舞台。丁度12~13名用の部屋が空いていて、それはよかったのですが、この店、何かヘン! まず飲み物の注文をしたのですが、これがなかなか持ってこない。居酒屋なので、こちとらとしてはまずは乾杯をして、それからあれこれ注文したいわけです。その飲み物がこない。やっと来たと思ったら、まずは半分ほど。それからかなり待たされて、やっと全員揃って、カンパ~イ! で、食べ物を注文したのですが、係りの女性がこちらの注文を半分ほどでストップ。これで限界なので、続きはあとでと言い置いて、さっさと行ってしまいました。こんなのアリ? 注文、一応全部聞いてったらどないねんと思いましたね、全く。それからこれもかなり待たされて注文の品が届けられ、そして次の注文へ。係りの女性、かなり険しめの顔でそれをメモしてさっと奥に消えました。それから、またまた時間が過ぎ、やっと後半の品が届けられたのですが、そこで事件が起きたんであります。某がやっと届いた焼きラーメンをほんの一口食べて顔をしかめ、直ぐに係りの女性を呼び一言、「これ、食べられないんで持って帰ってください」。味つけなのか、それとも火が通ってなかったのかは分かりませんが、ムッとした様子(ただ、この人紳士なので、口調はあくまでも穏やかでしたが)。女性がその問題の一品を持ち帰り、しばらくしたら男性の店員が、「申し訳ありませんでした、直ぐに作り直します」と謝りに来ました。某は、「いいよ、いいよ、もういいから」。店員は、「そんな訳にはいきません、しばらくお待ちください」。それから、そのしばらくの長いこと。ようようにしてその作り直しが届いたのですが、某は、「もういい、持って帰って」。よっぽど気分を損ねたんでしょうね、気持は分かります。そこを他の句友がとりなして、何とか焼きラーメンを受け取った次第。これ、結局、某は一口も食べず、仕方ないんで他の三人が三分割してたいらげましたです、ハイ。巷間、外食産業の人手不足が言われていますが、どうやらそのせいらしい。部屋数、客席数に比して接客スタッフ、調理スタッフが全然足りていないとお見受けしました。なら、スタッフの数に見合うお客さんだけを入店させればいいと思うけど、経営上そうもいってられないんでしょうね。さらに問題は続きます。5人分のもつ鍋を注文し、さてこのシメにと雑炊用のライスを注文したのですが、これも一向に来ない。ある句友が、「稲刈りやってんじゃないの」と冗談を言うほど。やっと届いて、それみたら、何のことはないただのご飯(あたり前だけど)、とても長時間待たせる代物じゃない。そんなこんなでわが花火句会の出した結論は、「この店は二度と来ない」でした。ただこのお店、会計の時に端数の290円をまけてくれ、それなりの誠意を見せてはくれましたが。これが焼きラーメン事件の顛末であります。桐生選手の快挙とは程遠い低次元の話ではありますが、これはこれで今現在の日本の外食産業の人手不足の一端を如実に示すもの、花火句会において長く語り継がれるに違いありません。そんなのゴメン、早く忘れたい? ハハ、そうですよね。ともかく某さん、焼きラーメンのトラウマにはくれぐれもご注意を。当分喰わん? ハハ、分かります、分かります。
ついつい余談の方が長くなりました。閑話休題、句会の報告を以下ご覧ください。



《花野19句》

花野行く横光利一読むひとと


まなこよみがえりの秘薬花のかな


一筆箋草書の結び花野にて


一面の花野リフトの影過ぎぬ


花野へと続く小径の急がるる


花野にて男らの影薄きこと


古本の押花に会ひ花野かな


湖に吸い込まれゆく花野かな


風吹けば少し華やぐ花野かな


紫も白も負けん気大花野


ここからは男黙する大花野


匿名の身なれば花野転がりぬ


縄文の土器も眠れる花野かな


風の音皆で聞いてる花野かな


観光地間違えし道花野道


教会とバス停つなぐ花野かな


たたなわる稜線の碧花野道


好きな子と花野歩けばみんな好き


伊吹山弁当ひろげ花野かな


 


一席 


芋嵐畔に帽子のくるくると/沓九郎


教会とバス停つなぐ花野かな/仁誠


 


三席 


夜勤の子見送る背中細き月/三枝


縄文の土器も眠れる花野かな/小麦




今月の入点句は特選句)  
 


山口勝行
島の灯の消ゆるは早し露しぐれ
外野手に赤トンボ群れ草野球
見舞客にも梨を剥き看取妻
祝ひとて下戸も一掬今年酒
木犀の香に塗(まみ)れつつ立ち話


深井沓九郎
一面の花野リフトの影過ぎぬ
とうきびの甘さ自慢や過疎の村
コスモスを一輪飾り老タクシー
湖に吸い込まれゆく花野かな


河村仁誠
せせらぎに足を浸して踊り終ふ
受け身とる音の乾きや秋涼し
くるくると西瓜を回す蛇口かな
健常の我が身恥じ入る獺祭忌
教会とバス停つなぐ花野かな


上田三枝
夜勤の子見送る背中細き月


加藤小麦
縄文の土器も眠れる花野かな
花野にて男らの影薄きこと
風吹けば少し華やぐ花野かな
紫も白も負けん気大花野


原藻六
高楼に天下取ったり鬼やんま
独り居の夕餉に余る梨を剥く
秋の燈や会ひたい人に会ふ小路
ここからは男黙する大花野


御酒一筋
花野へと続く小径の急がるる
好きな子と花野歩けばみんな好き
まなこよみがえりの秘薬花野かな


梶原信史
一筆箋草書の結び花野にて
秋簾豆球とぼり今日を終ふ


山田夏子
明日の服あれこれ迷う秋夜長
山車の上稚児よろけるや秋祭
飛び越えし分水嶺の水澄めり


高津按庵
遠来の赤児みせんと墓参り
遅咲の向日葵一途東向く


中谷U
私は白桃であるけふ一日
夕月や二つに畳む段ボール
道に死す油蝉とは赤の他人


仲野カモメ
天高し孫水鞠(みずまり)と簗にあり
古本の押花に会ひ花野かな




山口勝行選評 

健常の我が身恥じ入る獺祭忌/仁誠


獺祭忌というのは九月十九日、正岡子規の忌日。子規忌、糸瓜忌ともいいます。俳句はもとより短歌に関しても革新的偉業を為した子規ですが、長い病床生活の末、三十六歳の若さで亡くなりました。この子規の短い一生と残した偉業の数々、名句のあれこれを思えば、生きながらえているこの身を恥じるという句。大先達に敬意を払うという意も込めて、一票を投じました。


小麦の「花野にて男らの影薄きこと」は、「花野には男の影の薄きこと」と添削しました。ちょっとしたニュアンスの違いですが、読み比べてください。同じような句意と思われる藻六の「ここからは男黙する大花野」は、「ここからは男は黙(もだ)す大花野」としました。これもちょっとしたニュアンスの違い、反芻してみてください。
同じく小麦の「風吹けば少し華やぐ花野かな」は少し華やぐに疑問符。「風吹けば華ぎを増す花野かな」、または「風吹けばいよよ華ぐ花野かな」として、花野の華やぎを強調したい。


点を集めていた三枝の「夜勤の子見送る背中細き月」。さて、この季語は? 月は秋の季語ですが、細き月は季語ではありません。また夜勤も季語ではありません。そこで「夜業の子見送る背中細き月」としました。夜勤は季節を問いませんが、夜なべ、夜仕事、夜業は秋の季語となっています。それにさっと情景の浮かぶ細き月をこのまま生かしたかったからです。


カモメの「古本の押花に会ひ花野かな」「古本の押花に会ふ花野かな」へ。本一冊を持って花野へ。そこで繙いてみたら、そこに押花があった…。そんな情景が浮かびました。


沓九郎の「とうきびの甘さ自慢や過疎の村」は(甘さ自慢や)を(甘さ自慢し)と添削しました。これといって自慢するものはない村ではあるが、とうきびの甘さだけはどこにも負けない、そんな村人の得意気な様子が浮かびます。



 
句会を終えてひと言


「夕月や二つに畳む段ボール/U太」、これを特選にしたけど、う~む意味が全然わかりましぇ~ん。が、しかしですね、夕月とは上弦の月。即ち新月から七、八日ごろまでのもの。夕方出て夜には沈んでしまう。その月をチラと見ながらですな、段ボール畳んで、「さぁ明日は資源ゴミ回収の日だ、早目にゴミ出してちょっとビールでも飲も」てか? 違ってたらご連絡下され、U太どの。かすみ目ってやつでしょうか。飛蚊症とでも言ふのかな。まなこが朧の今日び、あら不思議、花の歩けばくっきりはっきり。まさによみがえりの秘薬でありますな、花のさんは。それがしの自信句、「まなこよみがえりの秘薬花のかな」でござりまする。 (一筋)


自信句は「健常の我が身恥じ入る獺祭忌」。9月19日は子規忌。病に冒された体で俳句に励み、亡くなる直前にも床の中で病を笑いとばす句を作った。その心意気やあっぱれ。我が身といえば五体満足でありながら、まだまだ句作に悩む今日この頃。子規を今一度見習いたいものだ。自分は下戸である。ましてや日本酒は特に苦手。しかしながら祝いの席ではひとりだけ杯を上げない訳にはいかない。その酒が新酒であれば尚更である。やはり祝いの席は賑やかが一番、場をしらけさせてもいけない。一掬、ひとすくい程度の酒であれば付き合わざるをえない。先生の「祝ひとて下戸も一掬今年酒」が特選。 (仁誠)


もう40年も前のこと、定時制課程の生徒を教えていたことがあります。その時の生徒たち、授業を終えると急いで寮に帰り、食事と洗濯、夜8時からは紡績工場の夜勤にと出ていく。そんな生徒たちを見送る秋の月、「がんばってこいよ」と声をかけたことが思い出されました。三枝の「夜勤の子見送る背中細き月」が特選句。人生には「明と暗」があるといいますが、この9月3日はそんな日でした。明は秋篠宮家の眞子さまと小室圭さんとの婚約内定、暗は北朝鮮の水爆実験。暗の方は実に嘆かわしく憤りを覚える。一方明の方には、見ているこちらも幸せな気分になりました。そんな気分の時、老夫妻が住む隣家の2階を見上げると、秋簾の向こうの灯が豆球に変わりました。それ見て、今日も平穏で幸せな一日を過ごされたのであろうと勝手に想像を働かせ、こちらも幸せを感じながら床についた次第です。「秋簾豆球とぼり今日を終ふ」が自信句。 (信史)
 
フルメンバーとまではいかなかったけど、今日は出席者が多く、句も多種多彩で楽しかった。花野という季語は奥が深く、さまざまにイメージがふくらみます。あちきの自信句、「風吹けば少し華やぐ花野かな」。少し地味な花野だが、どうして、どうして。風が吹くと花もふるふると揺れて、急に華やいだ景色になるんであります。特選にしたのはこれも花野の句。仁誠の「教会とバス停つなぐ花野かな」。教会とバス停、どちらも人が集う場所。その二ヶ所が花野で結ばれている。わざわざ出掛けなくとも、そんな庭の延長みたいな所でも花野を見ることができる、そのささやかな雰囲気、そこに好感を持ちました。 (小麦)


淋しいのですが、少しほのぼのとした感じも。藻六の「独り居の夕餉に余る梨を剥く」を特選に。今日のたくさんある句の中で、自分の中では一番スーッと情景の浮かんだ句でした。藻六さんには貢献させていただきました(笑)。自信句は「明日の服あれこれ迷う秋夜長」。服選びにはいつも迷いますが、秋は夜も長いのでついつい夜ふかし。そこらあたりの女心の句のつもり。しかし、点は1点のみ(^^;)。 (夏子)


4ヶ月ぶりの句会、オーケストラの練習で参加できず失礼しました。やはり投句と参加ではまるで中身が違います。特選に選んだのは信史の「一筆箋草書の結び花野にて」。“花野”という兼題のイメージからはとても意外性を感じ、実に新鮮でした。おそらく、心のこもった一筆箋になったことでしょう。自信句はなし。それでも「遠来の赤児みせんと墓参り」「遅咲の向日葵一途東向く」に点が入ったんで良しとします。藻六が「按庵のいない句会は寂しい」というんで、いいこと言うなぁと思ったら、「悪代官や越後屋のいない捕物帖みたいなもんで、ものたらん」と抜かしやがった。許せん! (按庵)


今日はたったの一句、「夜勤の子見送る背中細き月」にドカ~ッと点を貰いました。で、第三位。こういうこともあるんですねぇ、忘れられない一句になりました。ただ自信句は「観光地間違えし道花野道」の方、ナビなんてない、地図を頼りのドライブの時代の句です。特選は先生の「外野手に赤トンボ群れ草野球」。情景がすっと浮かび、余情もたっぷり。ドームのプロ野球では味わえない草野球の良さですよね。 (三枝)


実は家内に叱られた。「他のメンバーの人にふざけとると言われるわよ!」 「皆の参加で会は成立するのでしょ!」と。おお、おそがい~っ。それで飛んできたんですが、参加者も多く盛会でよかった。いつだったか書籍の整理していて、ふと開いた本に押花が。どこでどうはさみこんだのか全く記憶にない。経年、老化、これだけは確かなり。「古本の押花に会ひ花野かな」が自信の一句。特選句としたのは先生の「見舞客にも梨を剥き看取妻」、よくある風景、自分にも経験があります。余談ですが、「見舞いには何回も言ってやれ、だが長居はするな」が父の遺言。そのココロは、今生の別れになるかもしれん、だから何回も行け、それに病人本人や奥さんに負担にならないよう長居は禁物。特に奥さんにとっては少しでも休ませたいのが本音ではありますまいかと。一理あり! さっさと梨をいただきさっさと退散、これが正解ではありますまいか。 (カモメ)


親心が伝わります。初めての夜勤なのでしょうか、細き月が、親と子、両方の心細さを表すのに効果的ですね。この句、語順を換えてはとも思ったけど、やはり下五はこのままの細き月の方が余韻が出ると思いました。何人かが点を入れた三枝の、「夜勤の子見送る背中細き月」が特選。今年の春、長野県根羽村の村長さんにお会いしました。同村は人口1000人を切ったとか。最近「幻の高原とうもろこし」が人気急上昇中。糖度18%超! ほんとにおいしいです、是非ご賞味くださいとのことでした。それが今日の自信句、「とうきびの甘さ自慢や過疎の村」です。今日は兼題の「花野」のせいか、すがすがしく素直な句が多かった。少し心洗われましたです、ホント。 (沓九郎)


またまたのチョンボ。自信句は「高草に四囲睥睨の鬼やんま」だったんですが、何故か提出句は「高楼に天下取ったり鬼やんま」になっていた。これ、推敲前のでんがな。よってこの句の得点は1点のみ。どっちにしてもたいして変わらん? ほっといてくれ! ◎を打ったのは「好きな子と花野歩けばみんな好き」。花野というのは人を和ませる。人間の心を広く大きくさせますな。そこを好きな子と歩けばハッピー、ハッピー。見知らぬ人もいい人に見える。いやぁ、いい句だなあと思ったんであります。こんな句を詠めるのは優しい人に違いない。ところがギッション、これ一筋のだって。あ~あ、世の中どうなってんでしょうか、有為転変、一寸先は闇だぁ。 (藻六)



 
月刊花火句会 これからの刊行予定 


9月30日:2017年9月増刊号(162号)
 『自選100句』シリーズ
  その⑥ 上田三枝


10月14日:2017年10月号(163号)
 『10月定例句会(10月7日)報告




句会の予定



【日時】 2017年10月7日(土) 18:00~
【会場】 金山アカデミーセンター4F
【兼題】 『新酒』を含む当季雑詠5句




投句の受付 


◆投句料は不要、投句される方は、メールにてお願いいたします。
◆作者名は本名でも俳号でもかまいません。
◆投句数は5句でお願いいたします。
◆締切りは10月5日(木)とさせていただきます。
◆投句いただいた作品の内、句会での入点句は、次回のブログにて
  発表させていただきます。
◆受付メールアドレス:haikuhanabikukai-aichi@yahoo.co.jp





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その⑤ 高津按庵


1 忘れいし母の命日曼珠沙華

2 瞑想の隣で写メール龍安寺

3 灰色の空と墓群に寒椿

4 花筏水面に口開けたる草魚

5 花の下すれちがう吾子しらんぷり

6 一日で壊す桟敷をつくる汗

7 渓流の岩場を染めて石蕗(つわ)の花

8 宿直の明けたる窓に風花す

9 子供らの和太鼓響きれんげ畑

10 喧噪のプラザを出れば鰯雲

11 新春や写経の妻に目をみはり

12 遠くより雪形拝み伊吹山

13 急坂をあえぎ登りて鷹を撮る

14 冬空の垂れて湖面に連なれり

15 ブラジルへ去る人のあり松の内

16 元旦に出勤の妻見送りぬ

17 高みより望む山並遠霞

18 職失せし講師の耳に卒業歌

19 若和尚スピードお経玉の汗

20 雪渓の小さき流れ小花咲く

21 渡り鳥吾子の赴任を見下ろしぬ

22 団栗を誰も拾わぬ山城址

23 春寒や讃岐うどんに思ひ寄せ

24 砂浜に山車曳き降ろし男衆

25 人は点桜一杯の写真かな

26 荒畑の土盛りあがり花大根

27 またあした手を振る子等や大夕焼

28 熊除けの空缶叩く子等の秋

29 澄みし秋二十億年前の石

30 草の名を教へつつ歩す小春かな

31 柿の実の熟れて真青の空に溶け

32 雨雲にとぎれとぎれの花火かな

33 新涼や杖ふりあげて背のびせし

34 零余子(むかご)など誰も採らぬと島の人

35 柿の朱のはだかの森に溶けてをり

36 大歳の旗のみ揺るる漁港かな

37 強風に連翹踊る佐保路かな

38 菜の花の地震断層埋めつくし

39 青嵐山村の田にジャズ運び

40 草むしるリハビリセンター賑はへる

41 とぼとぼと残暑の古都をとぼとぼと

42 ぼうぜんと喪中の葉書みつめをり

43 さざんかの咲く自衛隊駐屯地

44 図書館についうたた寝し春の午後

45 蝌蚪(かと)の群れ気持ち悪いと幼な妻
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46 紫陽花の色濃くなりて峠道

47 紫陽花の朝日に光り雨雫

48 短夜や寝返りて聞く雨の音

49 病窓にゴーヤの簾(すだれ)しつらへし

50 冷酒を長く含みて本を読む

51 若人の黙々ベース弾く残暑

52 稲架(はざ)かけし安曇野は黄に染まりけり

53 秋の道山ふりかえりふりかえり

54 山茶花の地図から消えし町に咲き

55 秋耕の苦の残りをり老女の手

56 荒波に耐へて水鳥群れをなし

57 寒の入り漁船のエンジン音高し

58 すっぴんの肌にまぶしき雪景色

59 静かなる雪の棚田は光をり

60 静かなる湾彩りて石蓴(あおさ)かな
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61 分校に赴任する子に春嵐

62 子供らの太鼓の連打初夏の風

63 カーネーション昔の不義理悔まれり

64 えごの花古刹の門を隠しをり

65 地蔵盆裸電球子等はしゃぎ

66 小説の頁(ページ)進まぬ残暑かな

67 台風に宝暦治水の恩感じ

68 エネルギー舞台を駆ける秋の夜

69 黙々とろくろを廻す雪の家

70 白熱のレース終りし余寒かな

71 鴨みつめ老人一人たたずめる

72 新緑やリコーダー鳴る集会所

73 古戦場武将隊背に蕨(わらび)採り

74 誰も居ぬ釈迦堂の影著莪(しゃが)の花

75 チェロの音に花瓶の芒揺らぎをり

76 木曽の村青空に溶け蕎麦の花

77 和紙の街川をはさみて山粧ふ

78 村人の思ひを継いでもみじ寺

79 山寺の節分草に迎へられ

80 松を見て子供はマツコデラックス

イメージ 481 内裏雛嫁ぎ行く娘の部屋に置き

82 花馬酔木古刹の庭に濡れにけり

83 入園式終へて道草父娘

84 こきりこの唄薫風にのり来る

85 突然に婚約者連れ吾子帰省

86 身辺の整理に捨てし秋の蚊帳

87 白露に路傍の石の光りをり

88 水澄みて湿原の草揺れてをり

89 懐かしの堤歩きて帰り花

90 侘助を庭に咲かせて寺護る

91 熊笹の道分け仰ぐ秋の空

92 マンサクの花追ひ求め尾奈の峰

93 単線の一駅毎に春の色

94 瀬戸内の島なつかしく朧月

95 口切り灰降る手までこだはりぬ

96 見上げれば鎮守の森に月冴(さ)ゆる

97 吹雪く中靴跡照らし街路灯

98 孕(はら)み猫路地とぼとぼと歩みをり

99 踏まれてもまた蘇り日照草

100 泥まみれ児童のはしゃぐ田植かな









月刊花火句会 これからの刊行予定 


月16日:2017年9月号(161号)
 『9月定例句会(9月9日)報告

9月30日:2017年9月増刊号(162号)
 『自選100句』シリーズ
  その⑥ 上田三枝



句会の予定 


【日時】 2017年9月9日(土) 18:00~
【会場】 金山アカデミーセンター4F
【兼題】 『花野』を含む当季雑詠5句



投句の受付 


◆投句料は不要、投句される方は、メールにてお願いいたします。
◆作者名は本名でも俳号でもかまいません。
◆投句数は5句でお願いいたします。
◆締切りは9月7日(木)とさせていただきます。
◆投句いただいた作品の内、句会での入点句は、次回のブログにて
  発表させていただきます。
◆受付メールアドレス:haikuhanabikukai-aichi@yahoo.co.jp





















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