その② 加藤小麦
●春の句
1、物の怪の体温上がる春の闇
2、自転車に入れる空気も春の色
3、朧夜や和菓子の箱に指紋あり
4、春塵や改行なしの無駄話
5、春立つや切り株に置くスヌーピー
6、口笛に少し揺れたる春の月
7、雛段にリカちゃん人形同席し
8、眼福の時ゆったりと雛の間に
9、三月やグッドバイから始めよう
10、芽吹くもの大地起こして発光す
11、スカートは水玉模様春の風
12、甘茶寺自転車漕いで和尚来る
13、春愁や三日に一度爪を切る
14、掌に乗るオルゴール春の風
15、叱られて泣きながら吹くしゃぼん玉
16、たんぽぽをお手本にして服を着る
17、啓蟄や色とりどりのベビー靴
18、春愁やすぐに忘れるパスワード
19、猫の恋ブロック塀に始まりぬ
20、この壁はフィクションである春の闇
21、恋猫を眺めやる犬何事ぞ
22、春疾風ワゴンセールは早仕舞
23、このごろは涙もろくて春の星
24、春嵐ポテトチップの大袋
●夏の句
1、端午の日ぱんと鳴らしてシーツ干す
2、真紅てふ色に幅あり薔薇の花
3、薔薇咲いて真珠のように雨を置き
4、なめくじら今日のノルマを進み終へ
5、水の星にふさわしきものなめくじら
6、ラムネ抜き風ある場所に案内され
7、打ち水をお地蔵様におすそ分け
8、子に請われ作る激辛夏カレー
9、裏側のヤモリを映すガラス窓
10、流れゆく雲わしづかむ夏休み
11、ふるさとを語ればいつも鮎自慢
12、天然とメモ書きありて鮎届く
13、空洞を抱きつつ強気夏大根
14、軽トラに山盛り西瓜橋渡る
15、てっぺんが待ち合わせ場所毛虫行く
16、怪談を一緒に聴いているヤモリ
17、部活去る君に餞西瓜割
18、大仏のパンチパーマに夏兆す
19、この部屋に集まっている西日好き
20、ちょっとだけいいことあって星月夜
21、雨だれに宙返りする青蛙
22、まごの手でスイッチ入れる扇風機
23、ソーダ水気の抜けるまで長話
●秋の句
1、秋風をつかんで放す赤ん坊
2、爽やかや真白き母のかっぽう着
3、裏窓や犯人はここ秋の蝶
4、脳天の引っ張られゆく秋の空
5、すすき野に風の在処を教えられ
6、あんパンを少し焦がして獺祭忌
7、曼珠沙華賽の河原に五万本
8、秋澄むや獣らの道新しく
9、捨て案山子初めて空の青さ知り
10、朝露は月の落とせし涙とも
11、豊かなる秋の王国サラダバー
12、噴火して世界全体曼珠沙華
13、名月に雲のはしゃぎて右左
14、犯人はきっとこの人長き夜
15、秋の海夕日どぼんと浸りゆく
16、皆に声かけられている返り花
17、星月夜行きたい国を言ひ言ひて
18、夕紅葉おかめ大勢居て平和
19、一族の童顔並ぶ盂蘭盆会
20、老木を励ますように松手入れ
21、秋高し骨と筋肉意識して
22、月明かりかわいさ余る鼻の穴
23、満月のシャッター街に犬走る
●冬の句
1、おでん屋の湯気に憩える一人客
2、着ぶくれて抱っこ抱っこの四頭身
3、星々に磨きをかけて寒旱
4、日なたぼこ皆無口でも満たされて
5、大寒やホットケーキを注文す
6、月光を抱きて育つ氷柱かな
7、野良猫の来て水仙の香を放ち
8、結界を張りて丸まるかじけ猫
9、冬帽子かぶる仕草の優しかり
10、凍星に名前をつけてまた明日
11、冬ざれて箸でつぶせぬものもらい
12、悴める手を励まして米を研ぐ
13、つぶらなる健忘症の雪だるま
14、勤務終え鮟鱇鍋に馳せ参ず
15、トナカイの参加している落葉焚き
16、末っ子と猫を退かせて煤払
17、湯豆腐やほど良い距離の老夫婦
18、マフラーを巻いて少女の人見知り
19、神棚に光届いて冬座敷
20、粉雪の街中にルビ振ってゆく
●新年の句
1、初売りや南国果実山盛りに
2、覚めてすぐ言わねば忘る夢はじめ
3、蝉丸はみんなの十八番お正月
4、書初めの馬の字走りだしそうな
5、破魔矢売る巫女の指輪の薬指
6、フランスの曲馬団より年賀状
7、猿引きの猿のまなこの考え中
8、入れ替えたはずの心と寝正月
9、初詣様式にある佳き心
10、買初めの母免税店を梯子せし
伝言板
第68回熱田まつり献納俳句募集要項
1.作品内容・・・熱田神宮嘱目吟
(原則として熱田神宮を参拝して、目に映ったこと感じたことを詠む。遠方の方は例外として、近くの神社を参拝して、目に映ったこと感じたことを詠むこと。)
2.締切・・・6月8日(木)必着
尚、6月5日(月)熱田まつりの当日は、境内の受付所へご提出下さい。
3.選者・・・小串和夫・金森直治・山口勝行(敬称略)
4.応募方法
1人3句以内(但し、神前披講にふさわしい句で、未発表のもの)とし、備え付け用紙又はハガキに楷書で明記して下さい。住所、氏名にはフリガナを附し、小・中学生の方は学校名、学年も記入して下さい。境内常設投句箱へ直接投句又は下記宛先へ郵送して下さい。
尚、献句については全て熱田神宮へ奉納致します。
5.宛先
〒456-8585 名古屋市熱田区神宮一丁目1番1号
熱田神宮宮庁内 献納俳句係
☎052-671-4154
月刊花火句会 これからの刊行予定
★6月17日:2017年6月号(155号)
『6月定例句会(6月10日)報告』
★6月29日:2017年6月増刊号(156号)
『自選100句』シリーズ
その③ 深井沓九郎
句会の予定
【日時】 2017年6月10日(土) 18:00~
【会場】 金山アカデミーセンター4F
【兼題】 『田植』を含む当季雑詠5句
投句の受付
◆投句料は不要、投句される方は、メールにてお願いいたします。
◆作者名は本名でも俳号でもかまいません。
◆投句数は5句でお願いいたします。
◆締切りは6月8日(木)とさせていただきます。
◆投句いただいた作品の内、句会での入点句は、次回のブログにて
発表させていただきます。
◆受付メールアドレス:haikuhanabikukai-aichi@yahoo.co.jp