月刊花火句会

花火句会は2004年夏、花火シーズンの真っ只中で発足しました。 集まったのは、当時40代から60代の10名余り、全員がそれまで俳句なんぞ作ったことがないというど素人ばかり、それでも俳人山口勝行氏の指導を得て、月1回の句会、年1~2回の吟行を行っております。 句会は、参加者が事前に用意した兼題1句を含む当季雑詠5句を提出、全員で選句します。 選句された句は、入点句として、次回の会報で発表されます。 会員による選句とは別に、山口勝行氏選の優秀句(1、2句)は、山口賞となります。 句会後には、自由参加で懇親会もあり、当日の会員の句を褒めたりけなしたり、まさに議論百出です。

2016年01月


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第1回 まぼろしの前座漫才

原 藻六
 

《前口上》
 
もちろん私見だけど、句友岡田参茶の感性はユニークだと思う。ごくまれに参加したり投句してでの句、これがまたどう評価したらいいのか、選句する側も困惑するという、実に珍妙な代物。恐いものなしの独特な世界。何年か前、「星野源はいいよ、ぜひ聴いてみてよ」とすすめてきたことがある。それで聴いてみたけど、その時の参茶は50代後半のはず。それでいて星野源の音楽世界についていけるのがスゴイ。しかも、これを70近いジイさん(私のことです、当時)にすすめる、いかにも参茶らしかった。
 
11月上旬、12月句会兼忘年会の一ヶ月前、その参茶と恵薄との三人で飲んだ時のこと。参茶の口から落語の話が飛び出した。かなり入れ込んでいる様子。寄席にいく、気に入った落語家のDVDを繰り返し聴く、落語関係の本を購入する、さらには自分で高座の練習までしているという。
 
そんな参茶の熱のこもった話に、ひょっとしたらこの人の落語って面白いかもしれない、一度聴いてみたいなと。そこでただでさえお調子者の藻六(私メのことでございます)が、酒の勢いもあって、またまた無責任な発言、そそのかし。「なら、今度の花火句会で高座に上がったら。初舞台だぁ」
 
対してこっちも酔ってる参茶、まんざらでもない様子。で酔っぱらい同志、話はトントンと進み、当日は句会の後の忘年会で恵薄・藻六が前座のミニ漫才、そのあとに参茶の落語となった次第です。
 
この参茶を高座に押し上げようという企み、結局これは準備不足、時期尚早で頓挫したのですが、急いで書きあげた漫才もどきの台本もどき、これが残りました。今ではまぼろしの漫才台本であります。
 
月刊花火句会増刊号、2016年は特にはテーマを決めず、会員・投句者がそれぞれ自由勝手に書き、タイトルも自分でつけるという趣向に。それを逆手にとって、ならばこれもアリかとボツ台本を登場させるという鉄面皮、どうか年寄りのわがままとご容赦ください。
参茶さ~ん、今回の仕掛けは不発だったけど、初舞台、待っとりま~す!
 
 
《台本》


忘年会の頃合いを見て、恵薄(K)と藻六(M)がマイク(1本)の少しうしろに立つ。頭にはお揃いの派手な帽子。Mは左手に飲みかけのグラスを持ったまま。それを時々舐めながらの舞台。まずKがマイクに近づき、
「恥ずかしながら、藻六と下手な漫才もどきをやります。あくまでももどき、ドシロウトの座興ですので、適当に聞き流してください」
と言って元の位置に戻る。で二人、眼と眼で合図、軽く、ではと、マイクの右左に立つ。それぞれ勝手にリズムをとり、軽いのりで、
「おそ、で~す」
「まつ、で~す」
「二人合わせてぇ~」
K・M「おそまつで~す」
「妙なことになりましたねぇ、漫才とはねぇ」
「だよなぁ。なりゆきとはいえ、わて、この歳になって、漫才やるとは思わなんだ。びっくりぽん、青天の霹靂だなぁ」
「一寸先は闇。何が起こるか分かりません」
「あなたはいいよ、あなたは」
「はあ?」
「存在自体が漫才だもんなぁ。地でいける」
「それはそっちのことだ。自分が分かってないなぁ。で、藻六さん…」
と言いかけるのをMが制し、
「ちゃうちゃうおそさん、藻六じゃなくまつだんねん、まつ。マッサンでもいいよ、ねぇエリー」
「何がエリーだ。そんなことより、いきなりでナンだけどあなたがつけたこのコンビ名ねぇ、これが分かりません。何でおそまつなのさ?」
「あなたおそやないか。本名おそけいじ、だろ?」
ここで突然調子を変え、
「おそ刑事、ホシのメドは立ったか?」
「ハ、部長、まだです、捜査中です」
「おそ、いっ!」
「…のおそけいじだよな」
「まぁそうだけど、ならあなたも本名でいかなきゃ、でないと不公平。本名ハゲノブオ」
「うん?」
「ハゲでしょ、あなたの苗字」
と言って相方の帽子をとる。Mはあわててそれを取り戻しかぶり直して、
「ハゲちゃいます、はらです、はら。は・ら・の・ぶ・お!」
「ならコンビ名はおそはらだ」
「あんなぁおそさん、バカも休み休み言えよ。何が哀しゅうて、そんな訳の分からん名前にせにゃならんのよ。あのな、おそとくればまつ、それしかない」
「……?」
「わてらの年代は少年サンデー、赤塚不二夫のおそまつ君、あんたも憶えとろうが」
「年代、ちょっと違うと思うけど」
「60過ぎたらみな一緒、あとはお墓にまっしぐら~」
「ま、いいか。憶えてますよ、おそうじオジサン、レ、レ、レのレ~、イヤミのシェ~ッだ」
「それよ、それ。だからおそとくればまつ、それしかない。それにさ、この世の中、始めたものはいつか終わる、それ鉄則」
「はぁ~?」
「始めた時から終わりを見すえる。これ、大事なことよ、人間の一生と同じだな」
「よく言うよ、いきあたりばったりのくせして。あれ~っ、わたしはどこに行くんでしょう、誰れか教えて~だ」
「それあんただろ。このはぐれ雲がっ。風のまにまにふ~ら、ふらだ。いいか、まずスタートとラストを決める。コンビ名をおそまつとすると都合がいいのよ。まずな、さっきのように『二人合わせておそまつで~す』で始めて、最後に『おそまつでしたぁ、シェーッ』のポーズで終わる。どや、見事な様式美だろ。ここまで考えてのコンビ名、やっぱ先を見る人は、どこか違う(エッヘン)」
「よく言うよ、お先真っ暗のジイさんが」
「で、おそさん、あんたシェ~ッってできる?」
「できますよ、こんなんでしょ」
言ってKはふらつきながらもポーズ。Mはそれ見て、
「ダメ、全然なっとらん。いいか、右手が水平、左手が上、左の手のひらは頭の方で、ピシッと指を伸ばす。曲げるのは左足。ほら、もう一度やり直してみ」
Kは再度ポーズをとり、「シェ~ッ!」
「まだまだだなぁ」
「なら見本見せてよ、マッサン」
「そんな恥ずかしいマネできるか。オレにも羞恥心というもんがあるからな。人前でそんな格好、ようせん。何がシェ~だ」
「クソッ、喰えんジジイだっ」
「あのね、おそさん、時間は限られとる。さっさと前にいこ。スタートとラストは決まった、あとは中身だ、今日のテーマだな」
「テーマって、これただのドシロウトの漫才もどきでしょ。テーマなんて、あるの?」
「おそさん、あんさん漫才を甘くみとるな。ちゃんとテーマはある、でなきゃ話が前に進まんでしょうが。な、おそさん、あんさん…あんさん、おそさん? あれ、どっちだったっけかなぁ」
「バカバカしい、そんなのどっちでもいい」
Mは酔っぱらいの感じで(事実飲んでるけど)、
「おそさん、あんさん、どなたさん…あの、どちらさんでしたぁ~、おたくさん~」
Kは相手にせず。Mはますます調子にのり、
「おそさん、あんさん、ごくろうさん、お前のかあさんべっぴんさん…お会いしたことないけど」
「いい加減にしろ!」
Mはかまわず歌いだす。もはやタダの酔っぱらい男、
「♪雨の降る夜に~来るのが恋路~月夜の晩には~誰れもく~る~」
「何よ、それ?」
「夜這いの歌。夜這いって、分っかるかなぁ。こんなんもあるよ、
♪弟野郎の~宿なしよりも~
少しゃ馬鹿でも~兄がよ~い~」
「それは?」
「婿選びの歌。昔の人は上手いこというよなぁ。おそさん、あなた長男? 次男?」
「わたしは長男」
「少しバカの口ね。やっぱ当たっとる~」
「そっちは何よ?」
「次男坊」
「宿なしか。ピタリだ」
お互いに相手を指さし、「ヤーイ、少しバカ~」「ヤーイ、宿なし~」
K、気を立て直し、
「時間がないんでしょ、テーマ、テーマ」
「そやった。ハイ、ハイ、まずはサブテーマ、名は体を表わすね」
「サブ? メインもあるのか」
「あるある、それが本日の肝だな」
「何よ、それ?」
「参茶の案件だ。でさ、まずサブの方だけど、あなたの出っちゅうか、ご先祖さまは山奥の人やろ」
「確かに。信州の伊那です」
「やっぱりな。尾っぽの尾に木曽の曽、木曽山脈のはしっこかと。それにさ、曽という字は重ねるという意味だからな。例えば木をいっぱい重ねて木曽、タルの中で味を重ねて味噌になる。尾曽というのは尾根を重ねるとも読めるな。どっちにしても山奥だ」
「成程ね。もうご先祖さまに確かめようもないけど」
「わてら下々の者に苗字が許されたのは明治、それまでは八っさん、熊さん、弥次さん、喜多さん、それが急にお上から言われて、思いつくままにつけたんだな。川の上流に住んでいたんで川上、海に近ければ川口だ」
「カニが獲れる水辺で蟹江。そういえば学生時代、奥美濃出身の鷲見(すみ)さんていたな。あっちには鷲が飛んでるからなぁ」
「住んでる土地、これ多いね。それから職業、鳥飼とか鵜飼。好き嫌いもあるだろね。な、花火句会っちゅう句会あるやろ、その先生ね、小銭専門のお金が大好きなんで、ガマグチ」
「違う、ヤマグチ! 何ということ言うのよ、先生、どうもすみません、これ漫才ですから」
とKは先生に頭を下げる、「いつもお世話になっております」
「というと、マッサンは原っぱの出だ」
「だろうね。周りは雑草ばかり、草茫々の原っぱだぁ」
「そこにバラック小屋が一軒だけポツン」
ここで調子を変え、
「オイ、平民! お前にも苗字を許してやる。好きな名前を言ってみろ」
「お役人さま~、このあたりは原っぱで米はとれまっせん。わっしゃハラ減ったぁ~昨日から何も食べよりまっせ~ん」
「それは気の毒だが、今日は苗字よ、苗字」
「ハラ減ったぁ~、食えん苗字よりもハラに入るものをおくんなせぇ~」
「くどいっ! ハラ、ハラ、ハラ、ハラ言うな。よし、お前の苗字はハラにせいっ」
「すると、奥山の山小屋と原っぱのバラック小屋の出かぁ、どうりでおそさん、わたしら気が合うんだなぁ」
「合いません! 合ってたまるかっ!」
「そいでもってこうして漫才コンビ、縁(えにし)やなぁ」
「腐れ縁、仕方なくつき合ってるだけ」
「その苗字に親のそれぞれの想いを込めた名前がつく。そんなんひっくるめて、名前って結構意味ありなんだな、これで」
「それで名は体を表わすか」
「そや、いいこと言うやろ、わて。それにもう一つ。ご先祖さまでも親でもない。自分でつけられる名ね。画号、俳号、ペンネーム、屋号、役者名、源氏名なんてのもあるな。これにはその人そのものが表われる。おそさんはどうしようもないケイハク男だから、ケ・イ・ハ・ク」
「マッサンは認知症のヨボヨボだから、モーロク!」
「う~ん、名は体だ、体そのものだ。ケイハクとモーロク、ぴったりだなぁ」
「自分で感心するな。まぁ分かった、名前は大切ということね。それとメインテーマとどう関係するのさ?」
「それはこれから。あ、その前に、花火句会で俳号まだの人、いい名前つけてね」
「そんなの本人次第、本名でも全然かまいません」
「そりゃそうだけど、何でかなぁ、本名って呼び捨てにしにくいのよね。それが俳号だとさっと出る。それにさ、練り込んだ、何かこう、オオッという俳号に会いたいね。う~ん、いいなぁ、よく考えたな、まいったぁ、みたいな」
「その時はケイハクとかモーロクは無しですね。御酒一筋(おさけひとすじ)なんてもってのほか」
「そうだ、そうだ、ふざけとるっ」
「それ言う資格、わたしらにはありません。でマッサン、メインに行かなきゃ。時間、時間…」
「そやそや、“参茶事件”、起こったよなぁ」
「起こりましたねぇ」
「語ったよなぁ」
「語りましたねぇ」
「(参茶の口調で)あと二年数ヶ月、65才になったら足を洗うぞ、カタギになるんだぁ」
「違う! 仕事から引退でしょ、引退! サラリーマンじゃないから定年はないんだけど、辞めるぞォ~!」
「辞めるぞォ~! きっぱりだぁ!」
「きっぱり、ぱりぱりだぁ!」
「そいでもって宣言したんだよな。キット宙を見すえて」
「宙でしたっけ、右手に持ったビールジョッキじゃなかった?」
「何こいとる、宙なの宙。ああいう時は宙でなきゃ格好つかん、左手は腰、右手で天を差す、こうよ、こう」
「あの時の参茶、格好よかったですねぇ」
「よかった、よかった、眼が輝いとった。頬も紅潮しとったな」
「あれはアルコールのせいでしょ」
「ちゃうねん、気持の昂ぶりそのものだ」
「で、宣言したんですよね」
「した、した。65になったら出家するっ!」
「違う!」
「出家して尼さんになるっ!」
「なれるかっ!」
「だよな。わだす、落語家になるっ、だ」
「そうでしたねぇ。この町の、落語家になるっ! だ」
「決意表明だ。ねぇおそさん、あれ聞いた時、どう思った?」
「どうたって、本人が言うんだから、それでいいでしょうが。マッサンは?」
「落語家だからね、それはよせ(寄席)なんちゃって。ハハ、このギャグ分かる?」
「お粗末! 町の落語家になって、このカフェプーさんみたいな所で落語会のライブをやる、それから病院、養老院、小学校、求められれば出掛けていって笑いを届ける」
「どこでも行くぞォ! 刑務所にも入っちゃうぞォ!」
「入るかっ! 慰問だ、笑いで和ませるんだっ!」
「えらいこっちゃなぁ」
「SNSも使ってアピールする。マッサン、SNS分かる?」
「分かりません、わが家は家計がいつもSOS」
「PRですよ、『落語の出前寄席、ご注文受けつけます』とかなんとか。宴会とか結婚式なんかにも行っちゃう」
「結婚式で、この結婚はよせ~、なんちゃって、ハハ、スンマセン」
「…で参茶のエライのは、口だけじゃない、ちゃんとその日に備えて勉強してるとこだよね」
「らしいね、ごくろうさんでごりゃります。でだ、ついてはまだまだ勉強中、つたない落語だけど、ぜひ花火句会で初舞台を踏みたい、モロクさん、ケイハクさん、ご手配のほどよろしく~っ」
「そんなこと言ってない」
「伏してお願いいたしま~す~、これ、この通り~っ! 土下座して頼まれちゃなぁ、断れんでしょ」
「デッチあげるなっ! じゃさ参茶さん、場数は踏んでおいた方がいい、65といわず今度のカフェプーにしようよ、そうけしかけたのは誰れだ。参茶が、まだまだ人前ではと渋るのを、大丈夫だって、花火句会に落語の分かる奴はおらん、トチったって平気の平左、そう言ったのは誰れだっ!」
「……」
「その上ですよ、前座にね、この恵薄と短い漫才やって説明しとくから、参茶さんは落語だけ、あとは一切なし、だったら気が楽でしょ。……よく言うよ、このわたしの了解もなしに」
「だったかなぁ、酒も飲んでたし、昔のことは忘れた」
「昔じゃない、一ヶ月前」
「まいいじゃない。ここまできちゃったんだから。でやなぁ、そろそろシメだ。ね、おそさん、落語家って名前いるよなぁ」
「いりますね、当然、芸名が」
「その件でちょっと提案しときたいのよね、わてとしては」
「いらんおせっかい、そんなの本人が決めるでしょうが。もう決めてるかもしれませんよ」
「かもなぁ。ま、その時はその時。おそさん、参茶の俳号の由来知ってる?」
「たしか、小林一茶、二茶、三茶でしたよね」
「それと、句会には参加してお茶を濁すだけ、それで参茶」
「句会にはほとんど来ないくせに、よく言いますよね」
「それはお前じゃ!」
「ハハ、やぶ蛇」
「ま、今日はそれおいといて、参茶は使ってほしいよな。わてら句会としては」
「その方が応援に力が入る」
「そや。で考えたんだけど、落語家って亭とか家ってつくよな。屋号ってやつ。春風亭小朝とか柳家小三治」
「すると岡田家参茶岡田亭参茶か」
「だよな。くずして、おっかな亭参茶とか。あとさ、ほら、出身地ってのもあるだろ。勘三郎の初代は尾張の国、中(なか)村の出身、今わてが住んでる名古屋市中村区だけどさ、だから中村勘三郎、ま、400年前のことだけどね」
「それ知ってます、だから勘三郎は全国の高校回りのスタートを中村区の高校からにした…」
「そのデンでいくと鳴海屋参茶か」
「よっ鳴海屋っ!」
滝の水亭参茶、ちょっと長いか」
「これどうです、落語家宣言をした中華料理店、あの店の名から四季亭参茶
「それいいかも。四季だから俳句にも通じるな。俳句っていえば、わての好きな参茶の句は『静々と屋根のつららが剣となる』『おはようと言う息白くございます』だけど、面白い、いかにも参茶らしいと思ったのは『ナメクジに砂糖ふりかけおかしかな』、これだな」
「ハハ、先生が渋い顔をしたという、あれね」
「(お菓子)と(可笑しい)をかけたというんだから、俳句としちゃ無茶だよな。けど面白い。そこから思いついたんだけど、おかしや参茶。これさ、あかしやさんまのもじりってことでいいかも。どう?」
「それ、憶えやすさはあるね。いいかもしんない」
「以上参茶さん、参考にして下さい、芸名の。名は体ということで、いい名をつけてくださいね」
「それ言いたかった訳ね。じゃさ、それがでたところで前座は終わり」
「やれやれやっと終りか。ふ~っ、セリフ覚えるのしんどかったぁ。おそさん、おそまつでした、シェ~ッ! やる?」
「やるかっ!……それではみなさん、参茶の落語初舞台の始まりで~す。本日のメインイベント、盛大な拍手で、お迎えくださ~い!」
 
――参茶、出囃子の鳴るデッキを手に登場、高座に上がる――
2015.12.12 カフェプー



伝言板


その① 吟行のお知らせ

2月句会は吟行です。

2月14日(日)
集合場所:金山駅JR改札口
集合時間:午前9時

今回の吟行は沓九郎の提案により車でなくで電車で。金山駅からJR東海道線で新所原下車、天竜浜名湖鉄道に乗り換え、奥浜名湖へ。ローカル線ならではの旅情、詩情あふれる湖畔の風景が味わえるとのことです。名句の誕生間違いなし…か?
奮ってご参加ください。

 
その②

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月刊花火句会 これからの刊行予定 


 2月20日:2016年2月号
   『二月吟行(2月14日)報告

 2月28日:2016年2月増刊号
   『月刊花火句会番外編』
   第2回 加藤小麦


 
句会の予定


【日時】 2016年2月14日(日)
      ~2月句会は吟行です~

【集合場所・時間】
      2月14日(日) 午前9時
      金山駅JR改札口
      ※時間厳守にてお願いします

【行先】 奥浜名湖



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【日  時】 2016年1月16日(土)
【会  場】 金山アカデミーセンター4F
【出席者】 勝行先生、小麦、一筋、智昭、三枝、仁誠、藻六、カモメ(以上8名)
【投句者】 U太、按庵
【兼  題】 『悴む(かじかむ)』を含む当季雑詠5句
 
 
明けましておめでとうございます。
花火句会、本年もよろしくお願い申しあげます。
 
新年に入った途端、全世界的に乱気流突入の感あり。北朝鮮の水爆実験、サウジアラビアとイランの断交、各地でのテロ。シリア、IS情勢のさらなる混迷化などなど。経済も大混乱。原油価格は大暴落、中国経済は大失速。日本でも株価は大発会から6日連続の大幅安、円安も一転円高へ。一体これからどうなるのか、全然先が見えません。事件、事故も多発。軽井沢スキーバスの転落事故での大学生の死。実に痛ましいかぎり。それに廃棄カツの横流し問題。この二つ、バス会社、食品会社の内実が明らかになるにつれ、世の中はどうなってんだと怒りを通り越して呆然とするのみ。
 
そんな中での初句会。となったら、それまでの暖冬が一転して厳冬に。所によっては大しけ、突風、大雪、吹雪の便りが。兼題の『悴(かじか)む』に合わせたかのように寒いこと寒いこと。暖冬とのあまりの落差にただ震えるのみでした。乱世を象徴するかのような天候、よって新年の挨拶もそこそこに句会はスタート、正月気分が限りなくゼロに近い初句会でした。
 
出席者8名、投句者2名のちょっと少なめ。ただ内容的には結構充実していて、それが救い。句会後は新年の飲み会に。ところがこれも難航。予約してなかったので四軒の店で断られてしまいました。新年会のピークでしょうか、どこも満員。よって風の冷たい酷寒の中を中年の句会グループが居酒屋を求めてウロウロ。いやぁ冷えたこと冷えたこと。最後は新規開拓をあきらめていつもの中華料理店へ。そこで某会員が「悴みて居酒屋探す初句会」。しかしこれ(悴みて)と(初句会)の季重なり。実にお寒いかぎり、余計に寒くなりました。某は勉強が足りん。
 
といった次第で、花火句会の2016年はどこまでも寒さにつきまとわれたスタートでした。春よ、早よ来い!



一席 

飯事(ままごと)の客となりけり初雀
/仁誠
 

二席 

言の葉も暖めてをり日向ぼこ/小麦
 

三席 

独酌の所作板につき年始酒/藻六


 
今月の入点句は特選句)



山口勝行
みくじ結ふ枝に冬芽の確(しか)とあり
二三輪とて探梅のこころ足り
和太鼓に迎へられたる初日の出
鮮やかな幟(のぼり)晒(さら)す手悴める
古里の仕来り真似て注連飾る
 
河村仁誠
飯事(ままごと)の客となりけり初雀
野ざらしの鎌倉大仏悴める
塵ひとつ残さず掃きて弓始
着信に弾む携帯春近し
 
加藤小麦
フランスの曲芸団より年賀状
言の葉も暖めてをり日向ぼこ
悴みて記す文字すべて震えけり
 
原藻六
横顔のふいに影持つ初茜
ゴミ箱に馬券投げ捨て今年かな
独酌の所作板につき年始酒
 
御酒一筋
浪曲師イブの夜半にみまかりぬ
悴めど温めてくれる息も在り
 
中谷U太
幸せであるかもしれぬ初詣
書く前にぐるぐる冬のボールペン
白椿落ちたる後も白椿
 
上田三枝
白き息悴みし手の中で消え
賀状待つ友よりメール時代かな
悴みし両手の荷物バスを待つ
 
高津按庵
高台の寺から眺む初景色
目をこすり吾子と将棋の二日かな
悴みて洗濯ばさみ散らばれり
 
仲野カモメ
初夢や天より理(ことわり)賜りぬ
 
増田智昭
面倒なことは見ぬふり寒の月



山口勝行選評


飯事(ままごと)の客となりけり初雀/仁誠

客となりけり)を(客となりたる)と添削しましたが、メンバーから点を集めていたこの句を、今回の最優秀句としました。飯事と初雀の組み合わせ、ほほえましさとともに、新年らしいことほぎも感じられます。
 
三枝の「賀状待つ友よりメール時代かな」。これも(今の)時代だよねぇという句意は伝わりますが、「賀状待つ友よりメール来る時代」としました。メールが時代遅れ、そんな時が来るかもしれません。
 
一筋の「悴めど温めてくれる息も在り」は「悴めを温めてくれる息の在り」に。()はその他の存在を示唆する副詞なので、イメージが分散、句意が弱くなります。強く(息の)と言い切ってください。はたして誰のどんな息か、イメージがふくらむ句です。
 
按庵の「悴みて洗濯ばさみ散らばれり」。情景はすっと浮かびますが、(悴みて散らばる)より(悴みて散らばす)とした方が、動きが目の当たりになります。「悴みて洗濯ばさみ散らしけり」に。
 
智昭の「やわらかく冬の星座が見守りて」。まず思うのは(冬の星座)と(やわらか)の組み合わせはどうなのかという点。冬の星座には冷厳のイメージの方が強い気がします。それを置くとしても、(冬の星座が)は(冬の星座に)に。リズム、音律に気を配り濁点は極力避け、「が」は「の」「に」とするよう心がけてください。それに下五の「て」止めも避け(見守りて)は(見守られ)と言い切ってください。「やわらかき冬の星座に見守られ」。
 
藻六の「素通りの手水所(ちょうずどころ)や悴みて」の句についてですが、切れ字(や)の使い方が不適切。上五、中七、下五は全て一連の繋がりにあるので「悴みて手水所を素通りし」としました。
 
私事ですが、今年喜寿(77)となります。人間、還暦(60)、古希(70)を経て喜寿、傘寿(80)、米寿(88)、卒寿(90)、白寿(99)へ。「寿」がつくことによっていよいよ年寄りの仲間入り、一つの区切りの年です。みなさん、今年もよろしく。



句会を終えてひと言


初句会の割にはこじんまりとした句会だったが、なかなかに落ち着いた良い句会でありんした。感心したのは、昨日までは暖冬で『悴む』がピンとこないような気がしていたけど、何が何が。みなさんそれぞれ味のある句を作っていました。あちきは第2位~!! 2016年のスタートとしては上々でごじゃりま~す。特選にしたのは先生の「みくじ結ふ枝に冬芽の確とあり」。春遠からじ、これならおみくじが凶でも気分は大吉、明るい気分になれますよね。自信句は「言の葉も暖めてをり日向ぼこ」。日向ぼっこしてるとゆるゆるとした気分になり、かわす言葉もゆるやかに。そんな大らかな日向ぼこ、いいもんでごじゃるよ。 (小麦)

仁誠の「塵ひとつ残さず掃きて弓始」。そもそもが清らかな精神性が必須の弓道、その年始めのけいこ、環境整備が大切なのは言うまでもありません。物事に臨むにあたっての丁寧さと、武道に対する敬意を強く感じ、心洗われる句です。私の句「初凪(ナギ)や発(タ)つ声和(ノド)に泊船(トマリブネ)」。情景としては、停泊する船がいざ出航、海は幸い凪いでいる、これなら順調に航海できそうだ、そう思うと「出航!」の号令の声も和らぐ…。舟人にとって海は荒れるもの、凪には心底ほっとするのです。 (カモメ)

元来、何かにつけ不器用な私。「悴みて」の寒い時期は器用、不器用のハンディがなくなり、みんなが不器用になる。そのあたりを「悴みて器用不器用違いなし」の句にしたが、伝わらなかったみたい。無得点に終った。やっぱり私は不器用だっ! 一筋の「悴めど温めてくれる息も在り」。この温めてくれる息とは誰れの息だろうか? これ考えると眠れなくなりそう。自分の息か? いやいやそれでは味気ない。やっぱ異性の息がいいと、とんと温めてくれる異性のいない私は思うんであります。声を大にして言いたい。温めてくれる息のおかげでしばしの暖がとれるのだっ! 生きている証左だっ! それがあってこそ、生かされるありがたさを感じとれるのだっ! いでよ! 温めてくれるひ~と。 (智昭)

智昭が特選にとってくれた「悴めど温めてくれる息も在り」が自信句。この息は誰れの息? そんなん自分でもお母ちゃんでも、恋人でもいいんす。自分がいちばん温めてもらいたい人にしたらいいがね。フランスの曲馬団から年賀状? 航空便しかないよな。で、それ何で来たんよ。考えられるのは①日本公演の時にアンケート用紙に住所氏名を記入した ②その団に律儀な日本人がいた。だからといって何で年賀状なのという疑問は解決されない。いろいろな愉しみ方のできる小麦の「フランスの曲馬団より年賀状」に特選印を打ったがに。 (一筋)

色鮮やかな幟、それを作り出す為には寒い冬の川での作業が不可欠。ほんとにご苦労さまです。先生の「鮮やかな幟(のぼり)晒す手悴める」を選びました。友人の年賀状を待っていたらメールできました。今はそういう時代なんだなぁと改めて感じさせられた。「賀状待つ友よりメール時代かな」が自信作。今日は人数が少ない分、みなさんの話をじっくり聞けたような気がしました。これはこれでいいものです。直しが入りましたが、先生から二句に点をもらいました。先生からの入点はやっぱり嬉しいものです (三枝)

◎は「言の葉も暖めてをり日向ぼこ/小麦」と「悴めど温めてくれる息も在り/一筋」、どっちに打つかで迷いました。が、一筋の(息も)の(も)に疑問符。これが(息の)であれば、情感あふれる秀句として文句なしだったんだけど。後から先生が同じような選評をしていて、いよいよおいどん(今年からこれでいきます)の鑑賞眼も先生の域に達したかと、意を強くいたしやした。(笑うな!) で◎は敵失により小麦に。句の方は自信なし。これでは点が入らんだろうなと思ったら、その通りだった。鑑賞眼があっても創作力がねぇ。ほんに天は二物を与えず。(笑うな!) (藻六)

自信句「着信に弾む携帯春近し」。今年は暖かい正月だった。何気なく机に置いた携帯が着信とともに踊りだしたのを見て、ふいに春を感じた。これからはもっと弾む硬い机の上にでも置くとしよう…。特選句「みくじ結ふ枝に冬芽の確とあり/勝行」。初詣に出掛けると決まっておみくじを買う。良ければ信じ、良くなければ信じないだけ。どっちにしても読み終えると枝に結ぶ。見るとその枝に冬芽が。春になったら冬芽のその後を見に行くとしよう…。初句会でトップ賞。これからもこの調子を落とさず、つづけられればいいんだけど。 (仁誠)



伝言板


その① 吟行のお知らせ

2月句会は吟行です。

2月14日(日)
集合場所:金山駅JR改札口
集合時間:午前9時

今回の吟行は沓九郎の提案により車でなくで電車で。金山駅からJR東海道線で新所原下車、天竜浜名湖鉄道に乗り換え、奥浜名湖へ。ローカル線ならではの旅情、詩情あふれる湖畔の風景が味わえるとのことです。名句の誕生間違いなし…か?
奮ってご参加ください。

 
その②


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月刊花火句会 これからの刊行予定


1月30日:2016年1月増刊号
  『月刊花火句会番外編』
   第1回 まぼろしの前座漫才 原藻六
 
2月20日:2016年2月号
  『二月吟行(2月14日)報告』
 

              句会の予定 


【日時】 2016年2月14日(日)
      ~2月句会は吟行です~
 
【集合場所・時間】
      2月14日(日) 午前9時
      金山駅JR改札口
      ※時間厳守にてお願いします
 
【行先】 奥浜名湖


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