その② 高津按庵/上田三枝
高津按庵
行く春や憎まれながら三百年 (鬼城)
俳句には説明がいらぬというが、何のシチュエーションもなしに、この句をみると、ひょっとしたらM老人の事を詠んだのではないかーと思う人もあるのではないか。先日、名鉄沿線ハイキングコースにしたがって「吉良吉田」(現西尾市内)を歩いてきた。その中に、忠臣蔵で悪役にされてしまった吉良上野介の菩提寺であるという華蔵寺にあった句碑である。この人は吉良の地では民に慕われる名君であったらしい。「赤馬にのった銅像」や「赤馬の径」もあった。私は、悪者にされた人に同情する質であるので、感慨深いものがあった。
華蔵寺より数キロ手前に、国宝金蓮寺弥陀堂があった。こんな所に国宝が! パンフレットによると、平等院鳳凰堂(京都)、中尊寺金色堂(岩手)、富貴寺大堂(大分)と並び称されるものであるという。平安末期~鎌倉初期に建てられたものがよくぞ奇跡的に残ったものだ。領主の庇護と地元民の厚い信仰心に支えられてきたという。そういう土地柄と吉良のお殿様(上野介)の姿が重なる。時は流れ、街おこし運動にもつながっている。
冒頭の村上鬼城の句に戻る。この句碑をみたとき、“どこがいいのかよくわからん、ひょっとすると駄句では?”と思ったが、書き綴ったのち、みてみると、良い句に思えてきたから不思議だ。俳句には説明がいる!
行く春や無視されつづけ三十年(按庵)
これには説明はいらぬ。私の事かM老人の事かはわからぬが……わかるのは駄句ということだけだ。
閑話休題
向日葵――ゴッホの絵で有名なこの花は熱い日差しを浴びた大地に大きな花を開かせるものだと思っていた。が、先日、知人より頂いたそれは、まだ花は小さく茎だけがとても長く、蕗かと思う程だった。私事で恐縮だが、私の愚妻は先日白内障の手術を受け、現在、小野洋子さん(ジョン・レノンの伴侶)ばりのサングラスをかけている。知人曰く、“去年、あまりにきれいだったので…”と、お見舞いも兼ねた心のこもる向日葵だった。術後の目がちょっと回復したとき、室内の透明の花びんの中で花が開いた! 成程、まさしく向日葵である。我が家で開いた向日葵の黄は、派手ではなく、気のせいか、ちょっと慎ましい。日本の気候がこの2~3年、亜熱帯的になり、春秋が極端に短くなった――季語(季節感)を大切にする俳句も現実感のそぐわぬ今日であるが、それでも、これは、けなげに黄色を立派に主張している!
またまた、私事で恐縮だが、明後日は吾娘(あこ)の結婚式だ。偶然にも吾娘のお気に入りの花は向日葵であった!
向日葵の花びんに開き吾娘おくる(按庵)
この程度の説明のいる句しか浮かばぬが――娘にとっても、私にとっても、一生に一度の事であり(何度もあっては困るが)、そして、この向日葵も一生に一度の花を開いている!
前述の知人は“挙式で、娘をおくる母親は嬉しそうに、父親は顔をひきつらせている”と言うが、私はどうだろうか? いずれにせよ、良い句は浮かばぬが、これも立派な俳句の風景である。
上田三枝
月一回の俳句の会 ちょぴり年齢層は高い。なんと私が若いと言われるのだから・・・。
居心地はとても良い。昔からどちらかと言えば、同い年や年下よりも年上の人と話す方が楽だった。年上の人に「同級生としゃべっているようだ」と言われた事もある。だから、優しく楽しい人達との俳句の会はとても楽しい。
仲間との楽しき宴夏の夜
月一回の俳句の会 私は俳句を作るのに苦労している。いつまでたっても上達しない。
俳句の日が近づくと気が重くなる。“5句出来てない、どうしよう”と思ってしまう。
何とか作っても、どこか残念な句になっている。だから俳句の会はとても憂鬱である。
窓もたれ白きノートや夏の雨
月一回の俳句の会 相反する私がいる。いつも揺れ動いている。でも、最近の私は新聞やテレビで俳句が書いてあったり映っていたりすると、つい見たり聞いたりしている。なんだかんだ言いながら俳句にはまっているのかもしれない。だから、俳句の会頑張ろう!
日々の中青葉と俳句眩しけり
伝言板
参茶主催の
“あんまり暑いんでやっとれん。
ビアガーデンに集まろうよ”の会
6月7日(日)
【場所】 中日ビル屋上ビアガーデン
【集合】 中日ビル一階ロビー
【時間】 18:00~
費用は全額太っ腹の参茶持ち。参加される方は6月5日までに藻六までご連絡ください。事前に参加人数を知りたいそうです。
月刊花火句会 これからの刊行予定
★6月20日:2015年6月号
『6月定例句会(6月13日)報告』
★6月30日:2015年6月増刊号
エッセイ・俳句のある風景
その③河村仁誠/本田柑子
句会の予定
【日時】 2015年6月13日(土) 18:00~
【会場】 金山アカデミーセンター4F
【兼題】 『草取(くさとり)』を含む当季雑詠5句
◆参加ご希望の方は、兼題1句を含む当季雑詠5句をご用意ください。
◆事前のご連絡は不要です、当日会場に直接お越しください。
◆参加料は1000円です。
投句の受付
◆投句料は不要、投句される方は、メールにてお願いいたします。
◆作者名は本名でも俳号でもかまいません。
◆投句数は5句以内でお願いいたします。
◆締切りは6月11日(木)とさせていただきます。
◆投句いただいた作品の内、句会での入点句は、次回のブログにて発表させて
いただきます。
◆受付メールアドレス:haikuhanabikukai-aichi@yahoo.co.jp